ホブゴブリン戦2
「グッ!」
ホブゴブリンは血を流しながらニッカの剣をがっしりと握りしめていた。
「こ、こいつ!」
ニッカは剣を引き抜くことができなかった。スピードでは上回っているニッカだったが、パワーでは大きくホブゴブリンがニッカを上回っていた。
「ブワッ!」
ホブゴブリンはニッカの剣を握り締めたまま、シュバとコンに向かってニッカを吹き飛ばした。
「ぐわっ」
ホブゴブリンの全力の投げの勢いをそのまま自らの体で受けた3人は、それだけで全身の骨が何本か折れた。
ホブゴブリン、ニッカ達、共に満身創痍の戦いだった。始めて魔物との接近戦を目の当たりにしたユークレオとアヤは、この戦いに見入っていた。
「スッ・・・・」
突然コンの気配が消えた。
「ブス ブス ブス ブス ブス ブス」
スキルによって気配を消したコンはホブゴブリンの懐に入って短剣で何度も腹部を刺し続けた。
コンは攻撃の後、すぐにその場を離れた方がよかった。しかしコンはふと見上げてしまった。自らの攻撃がホブゴブリンに通じたのか気になってしまったからだ・・・・
「ガンッ!」
ホブゴブリンの強烈な拳が頭上からコンを襲った! コンはホブゴブリンの拳で頭を地面まで吹き飛ばされて気絶した。ホブゴブリンはそのまま、コンを掴み遺跡の壁に投げつけた!
「グウオッ!」
コンは全身を壁に打ち付けて、動かなくなってしまった。コンは気配を消すなどのスキルを持ち優秀な密偵であるが、攻撃力はそれほど高くなく魔物と直接対峙することは得意ではなかった。
「コン! 大丈夫か!」
ニッカの呼びかけにコンは全く反応がない・・・・
「ウオオオオオッ」
ホブゴブリンは再び大斧を構えてニッカとシュバに吠えた。
しかし、コンの攻撃により腹部から大量の青い血を流している。シュバとコンも切り札を使い、何本か骨が折れている状態である。どちらが勝利してもおかしくない!
ユークレオとアヤのところにいたハジメだったが、二人が落ち着いていたためコンのところに駆け寄った。
ハジメは右手を挙げて、ニッカ達に合図した。どうやらニッカは生きているようだ!
「ウオオオオオオオッ」
ニッカとシュバは、剣をもってホブゴブリンに突っ込んでいった。
「ガンッ」
「シュパッ」
「ガガン」
「ドガッ」
2人は何度も剣を振るった! ホブゴブリンも必死に2人の剣を受けて、自らも攻撃を放った!
もはや双方とも何の駆け引きもなく、全力の攻撃を繰り出すだけであった。
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