表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
269/350

新しい任務

「ニッカ副隊長、シュバ、コン、それに従魔ハジメ、お前たちに新しい任務を与える!」

 セロ将軍の横に立っている、とっちゃん坊や風の男が話を始めた。


「お前達には、ゴブリン城に潜入しゴブリンどもの兵糧を燃やし尽くすという任務を与える」

 とっちゃん坊や風の男は胸を張った何故か自慢げに宣言した。


「・・・・」

 ニッカ達は浮かない表情だ。


「ニッカ副隊長、何もそんなに難しく考えるな! そなたたちだけ行かせるわけではない」

セロ将軍が話を始めた。

「ここにいる2名はわが軍が誇る魔導士だ。彼らは優秀な炎使いということでも知られている」

 セロ将軍はなおも浮かない表情のニッカの顔をみて、少し不快な表情をした。

「この2名の魔導士が兵糧の焼却任務を行うゆえ、そなたらには案内役と護衛を頼む」

 

「任務とあれば、向かわせていただきます・・・・」

 ニッカは不満を隠せずにいた。


「何か奥歯にものの詰まったような言い方ではないか? 何が不満だというのだ!」

 セロは明らかに怒気がこもった言い方をした。


「前回の偵察任務も命がけでした。帰ったばかりの私達にまた死地に赴けと言われて平常心ではいられません」

 ニッカは思ったことを隠さずに答えた。


「何を言う! これはそなたらにはチャンスなのだ! この任務に成功すれば騎士にでも取り立ててやろう!」

 セロはなおも上から目線である。


「将軍、誰しもが騎士になりたいわけではありません!」

 ニッカはセロに一歩も引かない。横で見ていたシュバはニッカのあまりにあけすけな態度に内心びくびくしていた。

「私は曲がりなりにも副隊長として他のメンバーの命を預かっております。言うべきことは言わせていただきます」

 シュバはこの人にずっとついていこうと一瞬思ってしまった。


「無礼な奴じゃ!」

 セロ将軍はニッカを睨みつけている。


「まあまあ、双方ともそう熱くならずに!」

 2人の間に入ってきたのはラオ軍師だった。


「ニッカ副隊長、確かに2度も危険な任務に行かせるのはこちらも心苦しい。しかしゴブリン城に潜入したことがあるのは、そなたたちだけである!」

 ラオは丁寧に話を続けた。

「大変申し訳ないが、もう一度だけ行ってはくれまいか! そなたたちの働きには十分報いるつもりだ」

 ラオ軍師は深々と頭を下げた。


 ニッカ達はそれを見て恐縮してしまった。


「セロ将軍も、熱くなられますな! ニッカ副隊長も他のメンバーの事を考え言いにくいことを言ったまでの事」

ラオ軍師はそういうとセロ将軍たしなめた。


「将軍、軍師、大変失礼なことを申し上げて申し訳ございませんでした。ニッカ以下ゴブリン城までの護衛と案内任務確かにお受けいたしました」

 ニッカが頭を下げるとシュバ達も同じように頭を下げた。


「よろしく頼む」

 セロ将軍がそういうと、ニッカ達はゆっくりと本部をあとにした。


「ラオ軍師よ・・・・」

 セロ将軍は何か言いたそうである。


「将軍、馬鹿と何とかは使いようです。この爺の頭などいくらでも下げてやりましょうぞ! ハハハハハ!」

 ラオ軍師は乾いた笑いをとばした。


 いつもお読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ