闘技場の戦い、その後
シンは天使リコに連れられて天界にいた。
「ラファエル様、ただいま戻りました!」
リコは膝をついて頭を下げた。
「シンをこちらへ」
ラファエルはシンの額に手を掲げた。するとシンの全身をあたたかな光が包んだ。
「ん-んっ」
シンはゆっくりと目覚めた。
「こ、これはラファエル様」
シンは目の前にいきなり大天使ラファエルがいたので驚いて頭を下げた。
「シンよ! 戦うなと言っておいたが戦ってしまったようだな!」
ラファエルがシンを戒めた。
「は、申し訳ありません・・・・」
シンはしゅんとしている。
「今回は事情が事情であったためこれ以上は言わぬ! 以後修行に励め!」
ラファエルはそういうと去っていった。
「シンよ、戻ったか!」
新たな大天使カマエがやってきた! 戦いの天使である彼はラファエルからの依頼でシンの師としてシンの修行を行っていた。
「聞いたぞ! オニになってしまったらしいな! ハハハ」
「申し訳ありません、私が付いていながら・・・・」
天使リコが頭を下げた・・・・
「リコよ、気にするな! たまにはこうしてシンのオニを解放することも必要だ!」
カマエは気にしていないようだ!
「本来なら私自身がシンの戦いをこの目で見たかったが、大天使は天界から出ることができぬからな! そなたがうらやましいぞ!」
カマエは少し寂しそうだった。
「ではシンよ、参るか!」
カマエはシンを伴って修行の地に転移していった。
残された天使リコは地上を見守るため再びゴブリン国へと向かった。
シン達が去った闘技場では、国王ミトが立ちすくんでいた。
ミトは考えていた! ミトとカチンを除けば四天王はゴブリン軍最強である。その彼らを肉塊に変えるほどの実力者がマウント国にいるのだろうか・・・・
ミトは闘技場の異変を感じて、すぐにここに向かった。時間にしてわずか15分である!つまり何者かわからぬ強者は、そのわずかな時間の間にスーマ達を拷問まがいの方法で殺害したことになる。
ミトの知る限り、それが可能なのは悪魔モーリスだけである。しかし、この闘技場に感じる気配は悪魔のものではなかった。
ミトは新たな強者の存在を感じて、身を震わせていた。しかしゴブリン国を守るためにはその強者をも倒す決心を固めていたのだ!
ミトと同じようにゴブリン国の異変を感じていた者は、他にも2名いた!
ゴブリンキングのカチンとマウント国将軍のセロであった。彼らはその異常さに驚愕したが部下には一言も漏らさなかった。伝えたところで理解できないと思ったからだ!
彼らも考えていた。相手が誰にせよ、倒さなければならない相手だと!
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