再び鬼化?
「あーあ、汚れちゃったよ!」
シンはジュードの血をはらいながら、苦々しい顔をしている。
「き、貴様―っ!」
ジュードと仲の良かったゼマが飛び出した!
「待てっ、ゼマ!」
マカンがゼマをとっさに止めたが遅かった。
ゼマは一瞬でシンの懐に入った。
「とった!」
隙をついたゼマは勝利を確信して笑顔が出た。
「パンッ」
シンは目の前に現れたゼマを軽くはたいた。
「ザバシュッ」
ゼマは闘技場の壁を大きく突き抜け吹き飛ばされてしまった。
すでにゼマの命は尽きていた、彼は何をされたかもわからないまま笑顔を浮かべながら命を落とした。
「ガクガクガク」
マカンの足はいつの間にか震えていた!
「マカン! 逃げるぞ!」
スーマの目は闘技場にある出口の一つを見ていた。
「あ、あああ!」
マカンはすでにまともに返事ができない。
スーマはシンと自分たちの力量があまりにもかけ離れていることが分かってなお、無謀な勝負を挑むような男ではなかった。
しかしスーマはただ逃げるわけではなかった。この国で、シンに勝てるとすれば、ミトだけである。命に代えてもこの事態をミトに伝えなければならないと考えていた。
「ガクガクガク」
マカンの足はまだ震えている。スーマはこの時点でマカンの事を諦めた。
「ハアーッ!」
スーマはマカンの腰のベルトをもってシンに投げつけた!マカンは時速300キロメートル以上でシンに向かってきた。
「ドバッ」
マカンをシンに投げつけると同時にスーマを地面を強くけりつけて出口に向かった!
「ダンッ」
スーマは出口の手前で急停止した。
出口の前にはスーマ以上のスピードで移動したシンがいた。
その手にはマカンの首が握られていた。
「おい、お前! 仲間を置いてどこへ行くんだ!」
「ドンッ」
シンはマカンの首をスーマに投げつけた!
スーマは歯を食いしばり歯ぐきからは青い血がしたたり落ちている。
シンは仲間を犠牲にして逃げるスーマに怒っていた!今まで穏やかだったシンの表情は鬼の表情に変わり、その額からは2本の角が生えていた。
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