ゼマとジュード
「今度はおれたちが先にやるぞ!」
マカンとスーマに話したのは四天王の一人ゼマである。ゼマは両手にタガーを持ちそのスピードはゴブリン国一であった。
次の瞬間、ゼマはシンの背後にすでに移動していた。
「えっ!」
客席から見ていたシュバはゼマの動きを一切目で追えなかった。
「ザシュッ」
ゼマは容赦なくシンに切りつけた。
「?」
ゼマは一切手ごたえがないことに困惑した。シンはギリギリの距離でゼマの攻撃をかわしていた。
「シュッ」
「ザッ」
「ガシュッ」
ゼマは短時間の間に、数十回シンに切りつけた。
「はぁはぁはぁ・・・・」
「どうしてだ!」
ゼマの攻撃はシンにかすりもしなかった。
「ゼマ! 一人で突っ込むな!」
ゼマに声をかけてきたのはゴブリン国一の魔導士ジュードである。
ジュードが両手を天に掲げると、竜巻のような風の塊が生まれた。ジュードはその竜巻を闘技場の中を高速で移動させた。竜巻は闘技場の壁や地面の土を巻き上げてどんどんその勢いが増してゆく。
ジュードはシンに向かって竜巻をぶつけた。たちまちシンの体を中心に竜巻が荒れ狂った。
「シーーーーン」
シュバが叫び声をあげた。
「ハーッ!」
シンが両手を広げて、覇気を発すると一瞬で荒々しい竜巻は消滅してしまった。
「シュバ! 大丈夫だから!」
シンは叫んでいるシュバを振り返って、にっこり笑った。
ジュードは自らの最大魔法を簡単にかき消されてしまって口を開けて硬直している。
スーマ、マカン、ゼマの3体は呆けているジュードを残して一斉にシンを囲んだ!
「ウオオオオオッ」
「ハアアアアアアアアッ」
「ザシュッ」
3体は一斉にシンに向かって攻撃した!
「スカッ」
今までシンのいた場所に、その姿はなく3体の攻撃がシンにあたることはなかった!
「どこへ行った?」
スーマ達は闘技場を見渡した。
シンはジュードの目の前にいた!
「ドバッ!」
シンはジュードの顔面目掛けて、パンチを繰り出すとジュードの頭がはじけ飛んだ。
「ドサッ」
静かな闘技場に頭部を失ったジュードの体が倒れる音が響きわたった。
シンの体はジュードの青い血で一杯だった。
振り返ったシンを見たスーマ達の背筋が凍った。
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