マカン対ニッカ3
ニッカは自由落下で急速に落ちてきた。マカンは大長刀を大きく振りかぶり、ニッカを両断する準備は完了している。ニッカは両眼を閉じ自らの最期を覚悟している。
「ストーンバレット!」
シュバはマカンの顔面目掛けて魔法を唱えた。マカンはもはや意にも介さずシュバの魔法をかわすこともなかった。
「なにっ!」
マカンは確かにシュバの魔法にも目を閉じることなくニッカを見ていた。だが、ニッカの姿はマカンの目線の先になかった。
マカンは闘技場の中を見渡した。
ニッカはコンの腕に抱かれ闘技場の隅にいた。コンのスキルであった。マカンはニッカから目を話していないつもりであったが、コンのスキルによって注意をシュバの石礫に無意識のうちに移されていた。その時間はわずか数秒の事であった。その数秒の間にコンは落ちてくるニッカに飛びついて、闘技場の隅まで避難させたのであった。
闘技場の隅からその一部始終を見ていたスーマたちからしてみれば、マカンが突然動きを止めて、目の前でニッカを救い出されてるようにしか見えなかった。
「わははははっははは」
「マカンよ! 面白かったぞ!」
スーマは大笑いした。
「ずんっ」
マカンは持っていた大長刀をスーマに向かって投げ飛ばした。大長刀は闘技場の客席の最上段にいたスーマの数センチ横を通しすぎて闘技場の壁にめり込んだ!
「なにがおかしい?」
マカンの顔は無表情だった。
しばらくスーマとにらみ合っていたマカンであったが、向き直りニッカの方を見た。
「3体1が卑怯だとは思わない! 今回はそなたたちの勝利だ!」
そういうとマカンは闘技場の客席をゆっくり歩いてスーマの横を通り過ぎて自らの大長刀を壁から抜いた。
「次はおれだな!」
スーマが客席から闘技場まで一蹴りで降り立った。
「オレの相手はお前か!」
スーマはそういうと、シュバの事を指さした。スーマとマカンのやり取りですっかり空気が悪くなっている。
シュバは剣を抜いた。
「お前は武器はいらないのか?」
何も武器を持っていないスーマに対してシュバが問いかけた。
「ええ、必要ないですね」
スーマはそういうと悠然とシュバにゆっくりと近づいた。
「ざがっ!」
シュバは気が付くとニッカと同じように闘技場の壁まで飛ばされていた。
シュバの目には全く映らなかったが、スーマは突きを1発はなっただけである。シュバの肋骨は突き1つでボロボロになった。
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