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密談

 ラオは密かにカチン軍の陣に訪問していた。

「将軍、この度は無事のご到着、おめでとうございます」

 ラオは、皮肉交じりでカチンに話した。


「ラオよ、あそこまで蹂躙する気はなかったのだが、成り行きだ!」

 カチンは笑顔でワインを飲みながら話している。


「将軍、砦での戦については、われら何も思うところはありません! それよりもこれからがいよいよ正念場でございます」

 ラオは真剣な表情でカチンに向き合った。


「わかっておる! セロやお前との約束は覚えておる! マウント王国が我らとの約束を守るという証はあるのか!」

 カチンもグラスをテーブルにおいて真剣な表情になった。


「こちらが書状です」

 ラオはマウント国王からの書状をカチンに示した。


「確かに! これでマウント王国と我らは同志だ! ともにミトを打ち破ろうぞ!」

 カチンはラオの手を両手で握った。


「われら、ミト王と戦ってみて、アレの強さを実感しました。甘く見ていると返り討ちに会いかねません! 将軍、勝利のその時まで気を抜かぬように!」

 ラオはカチンの大雑把な性格にくぎを刺した。


「我らにはマグマグやそなたのような知将がおる、単騎のミトなど恐れることはない! いざとなればオレがミトを葬ってやるわ!」

 カチンはそういうと大笑いした。


 ラオはそんなカチンをみて、小者感の塊だと考えていた。


「ラオ殿、おっしゃりたいことわかっておりますので、その辺で・・・・」

 マグマグが話に入ってきて、ラオを制止した。


「マグマグ殿がそうおっしゃるなら、私もこれ以上何も言いますまい!」

 ラオとマグマグは何やら目くばせをした。


 ラオはカチンとの会談を終えてマウント王国の本陣に帰ってきた。


「ラオよ、カチンの様子はどうだった?」

 セロはゆったりとした表情で質問した。


「相変わらずですな、しかし想定通りに動いてもらわねば困ります」

 ラオは先のことをふと考えて、厳しい表情になった。




 ゴブリン城、マウント王国、カチン軍の三つ巴による戦いが始まろうとしていた。


 主人公であるシンはいまだ天界にいるのであった。


 いつもお読みいただきありがとうございます。

 引き続き頑張って書いていきますので何卒よろしくお願いします。

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