ミト王対カチン将軍
カチン軍がゴブリン城近くに到着して、マウント王国の陣をゴブリン城と挟む位置に陣をひいた。
「マグマグ、ミト王はセロにさんざんやられたようだな! はは、いい気味だ!」
カチンはミトの敗戦を知ってご機嫌だった。
「将軍、あまり大きな声でそんなことはお話になられない方がいいですよ」
マグマグは形だけ、カチンの発言を注意した。
「はは、まあそうだな!」
カチンはマグマグの顔を見て少し笑いかけて返した。
その時、カチンのテントにゴブリン城からの使者が到着した。
「カチン将軍、遠路ご苦労様です! ミト王が今後の軍議を行うので、カチン将軍にはゴブリン城にお越しいただきたいとの事でございます」
カチンは急に無表情になり、使者に答えた。
「到着したばかりで、今オレがここを離れるわけにはいかない! どうしても軍議がしたいというのならミト王がここに来るといい!」
「なんと! ミト王を呼びつけるなど、なんと不敬な!」
使者は激高してカチンに迫った。
「お前その態度は、オレに敵対するということか?」
カチンがそういうと周りの兵士が使者に槍を突き付けた。
「・・・・!!」
使者はカチンの態度に憤ったが、これ以上何かを言えば本当にカチンに殺されそうな雰囲気にそれ以上何も言えなかった。
「まあいい、お前のような小者を殺しても詮無い! 帰って王に伝えぃ!」
使者は追い出されるように陣をあとにした。
使者はゴブリン城に帰還後、カチンの陣で起きたことをすべてそのままミトに伝えた。
ミトは手に持っていたグラスを握りつぶした。もともとカチンはミトとはそりが合わず、ミトが王になることに対しても納得していないようだった。それが遊撃隊との戦で圧勝したことにより、今やミトに匹敵する強力な発言力をもつようになっていた。
「王、どういたしますか!」
ミトの様子を見て側近が心配そうに声をかけた!
「すておけ!」
ミトの表情を見て、側近たちはそれ以上何も話せなかった。
確かにカチン軍は今や飛ぶ鳥を落とす勢いで進軍してきている。実際マウント王国の事情を知らない兵士などは、カチン軍が戦場にあらわれたことで、震えあがっていた。
シュバ達のように、実際にカチン軍と戦った者たちは、仲間の敵討ち的な側面も多く、打倒カチンに燃えているものも少なくなかった。
「シュバ、奴らが現れたぞ!」
ニッカ副隊長はやる気満々である。
「数の上でも劣勢で、挟まれる形になってしまいましたね・・・・」
シュバは冷静に戦場を俯瞰していた。
「どうしよう! どうしよう!」
イオはバタバタとあわただしく走りまわっている。
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