知将と軍神
ゴブリン城の玉座に腰をおろしながらミトは、軍師ハイエのことを思い出していた。セロ将軍のラオ軍師、カチン将軍のマグマグのように、自らにもかつてハイエという軍師がいた。
「王、いつまでもモーリエのような悪魔の言いなりになっているのですか!」
将軍ラオカンはミトに詰め寄っていた。ゴブリンのための国を建国したというのに、モーリエの傘下に入っている以上、永遠に本当の独立とは言えないからだ。
「・・・・」
ミトはラオカンの気持ちが分かっているため、何も言い返さないでいた。
その時、ミトとラオカンしかいないゴブリン城の王の間に突然青黒い闇が現れた。中から現れたのは、悪魔モーリエである。
「なんだか、 僕のうわさしちゃってるみたいだね」
モーリエはへらへら笑いながら、ミトの方に近づいてくる。
「モーリエ様のお話など、しておりませぬ・・・・」
ミトは玉座から立ち上がり、膝まずいて迎えた。
ラオカンは自らの王が、ひざまずく姿を見て苦々しくモーリエを見ている。
「ラオカン、控えよ!」
ミトはラオカンを制止した。
ラオカンはミトに叱咤されて、仕方なく頭を下げた。
「君は、どうも僕のことが好きじゃないようだね!」
モーリエはラオカンの周りをぐるぐる回っている。
「王!」
その時、王の間に不穏な空気を察知し、軍師ハイエが現れた。
「あらあら、これはこれは! ミトの両腕が勢ぞろいだね!」
モーリエは不敵な笑みを浮かべた。
ゴブリン王国の建国に、知将ハイエと軍神ラオカンが大きな役割を果たしと事は内外に知られていた。
「これはよくぞいらっしゃいました、モーリエ様」
ハイエは膝まずいて、深々と頭を下げた。
「ハイエ、ぼくは君のその能力以上に上のものを敬う真摯な態度が好きだよ」
モーリエは今度はハイエの周りをぐるぐると回りだした。
「ありがとうございます。 もったいないお言葉でございます」
ハイエは落ち着いてモーリエと話をしている。
「だけどね」
「ドバッ!」
突然王の間全体に鮮血が飛び散った!
ミトとラオカンは、突然のことで何が起きたかわからなかった。
「フフッ」
モーリエはミトの方を見て、軽く笑みを浮かべた。
「はっ!」
ミトは目を見開いた!
モーリエの手から大量の血がしたたり落ちていた。そして、ハイエのいた場所を中心に放物線上に血痕が広がっていた
「ま、まさか・・・・ハイエを・・・・」
ミトは声にならない声を出した。
「ああ、ぼくって、なんだか忠実ですって態度されると吹き飛ばしたくなるんだよね」
モーリエは満面の笑みを浮かべてミトに答えた。
ハイエは自身に何が起こったか全くわからず、ただ全身を吹き飛ばされたのだった。
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