カチン対テッツ決着
カチンはゆっくりとテッツに近づいてきた。1歩1歩踏みしめるように・・・・
テッツはただカチンを見ていた。その怒りの表情から目を離せなかったのだ。
カチンはテッツの手前50cmで止まって、テッツの頭を片手で掴んだ!
そのまま、1m以上テッツの体を持ち上げた。カチンの体は3m超である。テッツは硬直してなすがままであった
「グシャッ」
カチンはテッツの頭を握りつぶした。まるでトマトでもつぶしたように、カチンの手から血がしたたり落ちている。
その光景をただ眺めているだけだった冒険者たちは、生きた心地がしなかった!
「ギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!」
カチンの叫びとも咆哮ともとれる声があたり一面に響き渡った!
「キイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!」
カチンの叫びに呼応するように、その場にいたゴブリンたちが一斉に叫びをあげた。
「ひいいいいいいいっ」
その声を聞いた冒険者は本能的に逃げ出そうとした。
しかし彼らが逃げるには遅すぎたのだ。
その光景はまさに蹂躙だった! ゴブリンたちは残った冒険者に一斉に襲いかかった。カチンの周りにいた冒険者は特にひどかった。一騎打ちを汚されたカチンはもはや剣を使うこともなく、冒険者を捕まえてはその手足や頭を生きたまま引きちぎられた。
冒険者達は声にならない悲鳴をあげ、絶命していった!
どのくらいの時間がたったころだろうか、カチンの怒りをぶつける冒険者もいなくなって、ようやくゴブリン砦の前の平原に静寂が戻った。あたりは血と肉片で真っ赤になっていた。
「ぐうおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
カチンが勝利の咆哮をあげた!
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
全ゴブリンがカチンに続き、叫びをあげた。ただ一人マグマグを除いて、マグマグはこの蹂躙の間中、椅子から腰を上げることなくワイングラスを傾けながら、ずっとその一部始終を笑みを浮かべながら眺めていた!
マグマグはやっと腰をあげてカチンの方に歩いていった。マグマグはそっとカチンの背中をたたいた。
これによってカチンはやっと正常な意識を取り戻した。
「おおっ、マグマグか!」
カチンは、マグマグに付き添われて、ゆっくりと砦の中に入っていった。
しばらくすると、遊撃隊本部を攻撃していた部隊も砦に戻ってきた。この遊撃隊とゴブリン砦部隊の戦いでゴブリン軍の死者は300人であった。それに対して遊撃隊の死者は900人を超えていた。
まさにゴブリン軍の完全勝利である!
この一部始終を離れた場所で見ていいた人間が一人いた。
マウント王国ラオ軍師の部下の騎士であった。彼はカチンが砦に入るのを確認し、馬を走らせラオのもとに向かった。
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