新たな作戦
遊撃隊隊長のテッツは怒っていた。夜襲をかけるつもりが、逆に夜襲を仕掛けられてしまい少なくない被害を出してしまったからだ。
陣を移動してすぐに、テッツは幹部を集めた。テッツは以前の計画よりも大掛かりな攻撃をゴブリン砦に仕掛ける提案をした。
「隊長、いきなりその規模の攻撃を仕掛けるのは危険でないでしょうか」
テッツの提案に幹部が反対の意見を出した。彼が言うには砦の全容がつかめてないというものだ。
「砦の偵察は済んでいる! あそこにはゴブリンジェネラル、ゴブリンナイト等、想定内の戦力がいるだけだ!」
「ゴブリンにこれだけやられて、黙っていれば舐められるだけだ! やつらを調子づかせないためにも一気に行くべきだ!」
テッツの強い言葉に、それ以上幹部たちに反対するものはいなかった。
攻撃の規模は800人、残りは陣の警備にあたる。時間は月が上空に上がったころとなった。
当初の火火攻めについて変更はなく、ゴブリンたちを砦ごと焼き尽くすというものだ!
偵察部隊を指揮していたニッカは特別に幹部会に参加していた。情報の確認をするためだ。
幹部会をあとにしたニッカは何かもやもやした気分だった。偵察班の自分たちが報告した情報は正しい。しかしこのまま、ほぼ全軍でいきなり総攻撃に近い攻撃を仕掛けてもよいのだろうかと考えていた。
ニッカの小隊は15人、その中にはシュバ達のパーティーも含まれている。他には4人組パーティー2組と1人の傭兵が参加している。
ニッカは小隊のメンバーに作戦を伝えた。ニッカ小隊は砦殲滅組に組まれていた。
「よし! これでゴブリンに報復できるな!」
「腕がなるな!」
小隊のメンバーは概ね、この作戦に前向きであった。
シュバはニッカと同じく何かひっかかるものがあった。夜襲の鮮やかさを見る限り、これまでのゴブリンとの戦いと同じような単純な戦いではない気がしている。このままやみくもに突っ込んでいけば手痛い反撃を受ける気がしていたのだ。
小隊の作戦会議をおえて、自分たちのテントに帰ってきたシュバはメンバーに自分の考えを伝えた。
「まあ、確かにシュバの言うこともわかるが、おれたちが何か言っても作戦が変わらないだろう」
最近みょうに頼りがいが出てきたクニがシュバの意見をききつつも、あまり変な声をあげることには反対のようだ。やはり騎士団ねらいなのだろうか、純粋に手柄をあげようとしているのだろうか。
「オラはシュバがそう感じるなら、オラたちだけでも警戒するべきだと思うだ」
デンは大人の対応だった。シュバもデンの存在には助かっていた。
「お前はどう思っているんだ?」
いつもうるさいイオが何も言わないのでシュバはイオに尋ねた。
「いやぁ、オレはなんだかこの戦争自体、あんまり気が乗らなくなってきたんだ」
シュバは想像の上を言っているイオの言葉に目を丸くした。
「村を襲ったり、そういうゴブリンから村を解放するのはいいと思うんだ・・・・だけど、おれたちがゴブリン軍と軍隊に入って戦うって、やっぱりな・・・・」
「そうか、お前の意見もなんとなくわかる気がする・・・・」
シュバは珍しくイオの考えに納得した。
「ハジメは?」
シュバは従魔ということで遠慮しているハジメにも意見を聞いた。
「ぼくは・・・・わかりませんが・・・・何か変です・・・・」
ハジメはなんといっていいかわからないが、何かが引っかかってるようだ。
「ありがとう、みんなの意見はわかったよ! イオの言うこともわかるが、途中で投げ出すのは無責任だ! この砦攻略についてはきっちり責任をもって参加しよう」
「ただ、上官の言うことが間違っていることは、あると思う! オレ達パーティーは自分たちの判断で常に行動する! それでいいか?」
シュバはメンバーの意見を聞きつつ、最適な答えを求めて発言した。
「んだな!」
「お前についていくよ!」
「ま、まあ・・・・」
メンバーはそれぞれシュバの意見に賛同したようだ。
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