クニ奮闘
シュバがゴブリン軍と戦いを始めたころシュバを除くパーティーメンバーは酒を飲み皆ほぼ酔いつぶれている状態であった。
「わああああああ」
「うおおおおおおおっ」
陣の中が突然騒がしくなって最初に目覚めたのがハジメであった。
「イオさん、何か変です! 起きてください」
ハジメは必死にイオの体をゆすったがイオは一向に目を覚まさない。
その間にデンとクニも騒ぎで目を覚ました。
「なんだ?」
クニはテントからでて、陣の様子を見た。
テントの外はいたるところに火が上がっている。さらに大量のゴブリンがなだれこんできていた。
テントの外に立っていたクニのところにゴブリンが剣を振りかぶって突進してきた。剣を持っていなかったクニは、かろうじてゴブリンの腕をつかんで攻撃を防いだ。
「デン! 剣だ!」
クニはまだテントの中にいるデンに叫んだ。
デンは自分の剣とクニの剣をもって飛び出してきた。ゴブリンと組み合っているクニをみたデンはそのまま体当たりをゴブリンにかました。
大男のデンの体当たりを受けたゴブリンは数メートル吹き飛ばされた。
その隙にデンはクニに剣を渡した。二人の前には3体のゴブリンがさらに襲ってきた。
「ハジメ! イオを起こせ!」
クニがテントの中のハジメに叫んだ。
「それが、全然起きてくれないんです。」
ハジメはあれやこれや、必死にイオを起こそうとしていた。
「そいつを思いっきり蹴り飛ばせ!」
クニはゴブリンと戦いながらも、大きな声で叫んでいる。
「そ、そんな・・・・」
ハジメはクニに言われたとはいえ、主人であるイオを蹴り飛ばすことには躊躇していた。
「いいから、やれ! イオを殺すつもりか!」
デンとクニはテントの外で何とかゴブリンの攻撃を防いでいたが、いつまでも持たなかった。
「ええいっ!」
ハジメは決心して思いっきりイオのお尻を蹴り飛ばした!
「いたぁ!」
イオはハジメに蹴られて1メートルほど痛みで浮きあがった。
「何すんだ!」
ハジメを見たイオは主人である自分を蹴り飛ばしたハジメを見て激怒した。
「これを!」
ハジメはそんなイオを一切気にすることなく、剣を手渡しテントの外に連れ出した。
「えっ!」
外の様子を見たイオは絶句した。
「ハジメよくやった」
イオがテントから出てきたのを確認したクニはゴブリンの攻撃を防ぎながら、イオ達を伴って、他の冒険者がゴブリンと戦っているエリアに移動した。
「よし、ここなら!」
一息ついたクニはデンやハジメに質問した。
「シュバはどこだ?」
誰もシュバの事を知らなかった。
「なんてことだ・・・・」
4人はゴブリンの攻撃をかわしながら、陣の中をシュバを探し回った。
その時、ゴブリンに撤退の合図が出たようで、一斉にゴブリンたちは引いていった。
「シュバを探すぞ!」
4人はゴブリンがいなくなった陣の中を必死でシュバを探し回った。そうして天を仰ぐシュバをやっと発見したのだった。
いつもお読みいただきありがとうございます。
面白い、続きが読みたい、応援したいと思われた方は、是非ブックマーク、画面下から評価をよろしくお願いします。
評価は各話の広告下の「☆☆☆☆☆」からポイント評価「★★★★★」を入れて応援していただけると
最高です。
今後も本作品を書いていく強力なモチベーションになります。
評価をくださった方、本当にありがとうございます。
感想もお待ちしております。