シュバ対ゴブリン軍
時間はさかのぼる・・・・ゴブリンの夜襲の少し前、シュバ隊は宴会でうかれて、そのまま眠っていた。酒を飲んでいないシュバは、夕方まで寝ていたこともあり、一人夜の陣を散歩していた。
シュバは、なんだかいつもと違う妙な感覚に襲われていた。
「シンは今頃どうしてるんだろうな・・・・」
シュバの頭の中にはふと行方不明のシンのことが思い浮かんでいた。
自分はシンの代わりにリーダーとしてうまくできているんだろうか、そんなことを考えながら、物思いにふけっていた。
「どさっ」
遠くの方で何かが倒れる音がした。
「なんなんだ、こんな時間に・・・・」
「ガンッ」
シュバは気になってその方向に歩いていこうとしたとき、当然ゴブリン2体からの襲撃を受けた。シュバはかろうじて剣を抜いて。その攻撃を防いだ。
「えっ? なんでこんところにゴブリンが!」
シュバは驚いて、瞬間固まったが、すぐに1体のゴブリンを足で蹴り飛ばし、もう1体のゴブリンの件を振り払って、その勢いでかさがけで切り捨てた。
シュバに蹴り飛ばされながらも、すぐに立ち上がって斧をもって襲ってきたゴブリンの腹部を横なぎで切りつけた。
シュバにとって、もはやこの程度数のゴブリンを倒すことは造作もないことであった。
2体のゴブリンをあっという間に倒したシュバは、すかさず暗闇の先を目を凝らして確認した。
暗闇の中にはうっすらとゴブリンの大軍がみえた!
「えっ!」
シュバが驚いていると、次の瞬間、そのゴブリンの大軍が急に明るくなった。
シュバがその明かりについて、何だろうと確認していると、その明かりそのものがシュバ達のいる陣に降り注いできた。
「くっ、火矢か!」
シュバはおそいかかる火矢を持っている剣で振り落とした。
「この数は・・・・キリがないな!」
やがて、火矢の嵐がおさまって、シュバはイオ達のところに向かおうとしたとき大量のゴブリンが一気に襲い掛かってきた。
「ザシュッ」
「バサッ」
シュバは目の前のゴブリンを次々に切っていった。しかし圧倒的なゴブリンの数に徐々に押されていった。ゴブリンと遊撃隊の数はほぼ同数であったが、この時点で戦闘に参加できている冒険者はわずかであった。
シュバは、一体何体のゴブリンを切ったのかわからないと思いながら、疲れから意識が飛びそうになった。
その時である、陣の中から押し出してきた冒険者がシュバの救援に駆けつけた。
「君、大丈夫か! 後は後ろで休んでくれ!」
こうなれば、もはやゴブリンたちに勝ち目はなかった。冒険者とゴブリンでは圧倒的に冒険者の方が攻撃力、防御力は高いのである。
しかしゴブリンたちの行動は早かった。冒険者たちが出てくると即座に撤退の合図に従った、一斉に退却を始めた。
シュバは、退却していくゴブリン軍の指揮とっているものの中に、あのホブゴブリンがいるのを発見した。奴もシュバに気が付いたようで、笑顔をみせて去っていった。
シュバは、奴がこれは始まりに過ぎないといっているように感じた。
ゴブリンの襲撃隊が去って、シュバはドサッとその場に腰を落とした。時間としてはそれほどながくはないのかもしれないが、シュバにとってはとてつもなく長く感じた戦いであった。
「終わったのか・・・・」
シュバは大の字になって地面に寝転がった。空にはまばゆい星が輝いていた。
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