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ゴブリンの襲撃

 シュバ達が遊撃隊本部に戻ると、テッツ達幹部が集まってきた。

「偵察任務ご苦労様でした。」

 テッツはそういうと全員をそれぞれ労ってくれた。

 まだ夜中ではあったが、幹部たちと偵察隊は朝方まで偵察内容について報告した。

 一通りの報告活動を終えたシュバ達は自分たちのテントに向かった。さすがに皆疲れていたらしく、テントに入るや否や、すぐに深い眠りについた。


 夕方になり、ようやくシュバ達は目を覚ました。その頃には幹部たちは、偵察隊の報告を受けて作戦行動も決まっていたようだ。

 砦への攻撃は明朝、砦の中にゴブリンがすし詰め状態にいることから、火攻めということになった。人煙でゴブリンたちの多くをその兵糧とともに一気に燃やし尽くすというものだ。

 通常ゴブリンは人間のように理性的に行動はしないとされている。

 早朝という時間帯で隙をつくことさえできれば、十分にやれるとテッツはみていた。

 砦を見てきたシュバ隊もこの作戦に参加する予定だ。今回の作戦は少数精鋭の300人ほどでおこなう。

 明朝まではまだ時間があるため兵士の多くは早い時間から眠りについた。シュバ達は先ほどまで眠っていたため、ニッカも参加して軽いお疲れ会を開催していた。


「まだ、戦争は始まったばかりだが、最初の偵察任務は十二分に成果を上げることができた! これからもよろしく! 乾杯!」

 ニッカの音頭でシュバ達は乾杯した。

 イオはハジメが活躍したことでいつも以上に宴会の中心になっていた。

「みんな、オレがイオだー!」

 イオは酒瓶を片手に机の上で叫んでいる。シュバはあきれ顔でイオを見ている。デンはイオのそんな姿を見て、なんだか嬉しそうだ。クニはすっかり出来上がって、隣のテーブルで眠っている。 

 ニッカは両手に酒瓶をもって、走り回っている。彼が一番出来上がっていた。

 シュバ達は夕方まで眠っていたというのに、お疲れ会の後、酒の力でまたテントに帰ってすぐに眠りについた。

 月が真上に来た頃、それはおこった。

「ビューン」

「ビュ、ビューン」

 突然、遊撃隊本部に向かって無数の火矢の雨が降ってきた。

「わーーーーっ」

「わわわわわわわ」

「おおおおおおおっ」

 遊撃隊本部は騒然とした。

「誰も何が起こったのかわからず、うろたえていた」


 そのうちに誰かが叫んだ。

「ゴブリンだ! ゴブリンの襲撃だ!」

 砦のゴブリンたちが密かに遊撃隊本部に近づいて一斉に火矢を撃ってきたのだ。

 火矢を撃つ前にゴブリンたちは、見張りの冒険者を密かに襲撃し無力化していた。人間以上に統率の取れた、軍としての行動であった。

 遊撃隊は火攻めで攻撃する前にゴブリンによって火攻めを受けたのである。

 

 ゴブリンたちは一通り火矢を撃つと、一斉に突撃してきた。その数はおよそ1000!

 遊撃隊の総数とほぼ同じである。

 冒険者たちは突然の寝こみに火矢を撃たれ、いきなり剣や斧を持ったゴブリンに攻撃を受けたことにより、次々と命を落としていった。しかし歴戦の冒険者たちである。最初こそ押されていたが、相手がしっかりと認識したころには、しっかりと反撃をし十分に押し返し始めた。

 

 ゴブリンたちの行動は早かった。反撃を受け始めるとすぐに撤退を始めた。冒険者は追撃をすることなく、再びの攻撃に備えるとともに、被害の確認を行った。

 

 今回の襲撃で遊撃隊の死者は53人、その他けがを負ったものも多かったが、ポーション等で回復したようだ。突然の攻撃を受けて思っていたよりは多くの死者を出すことはなかったが、遊撃隊には身体的なダメージよりも精神的なダメージが大きかった。


 まさか、ゴブリンがここまで人のように軍事行動をとるとは考えていなかった。遊撃隊はゴブリンに対する考えを改めざるを得なかった。

 遊撃隊は本部を現在よりもさらに5キロ後退した場所に移すことになった。


 ゴブリン軍は今回の夜襲で200人が命を失った。しかしゴブリン軍にとって、その数はとるに足らない被害であった。



 お読みいただきありがとうございます。

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