偵察任務
シュバ達は夜間に偵察に向かうことになった。シュバ達が所属する小隊の小隊長も一緒に行く予定だ!
「はじめまして君たちの小隊を指揮することになったニッカだ、よろしく!」
彼は単騎でダンジョン攻略を行っている珍しい冒険者だ! ランクB、年のころは40代半ばといったころだろうか。
人づきあいが苦手だから単騎というわけではなく、以前組んでいたパーティーメンバーが彼を残してダンジョン攻略で全滅したのだ。以来彼は他のものとパーティーを組むことなく単騎でダンジョン攻略を行っている。
「初めましてシュバです」
シュバ達は全員ニッカに握手を交わしながら挨拶をした。
そしてハジメの順番が回ってきた。
「初めまして、イオさんの従魔ハジメです」
「おお、君か! 同族と戦うのはつらいと思うが、仲間になったからには協力して助け合おう」
シュバはひそかにハジメのことを心配していた。やはりゴブリンと戦っている中で、仲間にゴブリンがいるのはどうかなという思いがあったからだ。
しかし、皆冒険者ということもあってか、従魔のハジメを敵視するものは少なかった。
ニッカを含む6名は月明りもない真っ暗な夜の道を砦に向かって静かに進んだ。
砦の手前500メートルくらいの場所から3人一組の見張りが何組も砦の周りをまわっている。
「やはり、村の見張りとは違うな・・・・」
クニが村での戦いを思い返しながらつぶやいた。
「君たちはゴブリンと戦ったことがあるのか?」
ニッカは驚いたように質問した。
「はい、ゴブリンに占領された村をひとつ解放することができました!」
シュバは注意しながらニッカの質問に答えた。
「なるほど、近頃は組織立って動くゴブリンと戦うのを嫌う冒険者が多いんだが、君たちのような若者が増えてくれると助かるよ!」
ニッカは単騎で動いているため、より組織立って動くようになったゴブリン討伐になかなか参加できなかったため、心苦しく思っていた。
シュバ達はゴブリンの見張りをかいくぐり大手門が見える位置までやってきた。
「お、おいシュバ、アレを見るだ!」
デンが驚いて指をさした!
「えっ、まさか!」
シュバ達は、何度も見返したが、間違いなかった。シュバ達が村で戦ったホブゴブリンであった。シュバにやられた腕はおそらく回復魔法で完治していたが、間違いなくヤツだった。
「あいつをしているのか?」
ニッカがシュバ達の様子を見て質問してきた。
「はい、村で唯一取り逃がしたゴブリンです。奴はなかなか手ごわくて倒しきれませんでした!」
シュバは若干言いづらそうに伝えた。
「なるほど君たちと因縁があるというわけか! だが今日は戦いに来たわけじゃない、それぞれ思いはあるだろうが、やつを倒すのはまだ先だ」
ニッカはシュバ達の気持ちを汲み取りながら、言葉を選んで話してくれている。シュバはシンがいない今、彼のような存在がパーティーに必要だと感じていた。
ホブゴブリンはシュバ達に村を追われて、この砦に逃げ込んでいた。村を奪われた落ち度で、今は見張りの一人に格下げされていた。彼は自分をこんな立場に落としたシュバ達を恨んでいた。いつか、シュバ達を殺す日を待ち望んでいる。
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