遊撃隊登録
「ここだな!」
シュバ達は遊撃隊の集合場所に到着した。冒険者や傭兵等、ガラの悪いものも少なくはなかった。
「お前たちも遊撃隊に参加希望のものか?」
冒険者らしい風貌の男がシュバ達に話しかけてきた。
「はい、そうです」
クニは素直に返事をした。
「オレはこの遊撃隊の小隊長のオーハだ!今ちょうど受付をしているとこだ。この列に並んでくれ!」
オーハ小隊長が指さした先には何百人も並んでいた。
遊撃隊で活躍すれば、騎士団に登用してもらえるといううわさが広がり、当初千人予定のところに2千人近く集まってきていた。
「ちょっと予定より多く集まってきてしまってな、兵糧のことも考えないといけないから受付だけまずしてくれ! その後選抜テストがある」
遊撃隊を希望している猛者の中で選抜テストを受けて千人に残らなければならないようだ。
「おいおいまじかよ! シュバはともかくオレやデンはまだ冒険者になったばかりだぞ!」
クニは話を聞いて不安だった。
「クニやデンはなんとか大丈夫だろう! 一番の問題はイオだな」
シュバは自分たちだけ受かってイオが落ちた場合は参加そのものを断ろうと考えていた。パーティーとしてイオだけ、のけ者にするわけにはいかないと考えていた。
「おいおい、お前たちしっかりやれよ! オレにはハジメが付いてるからな!」
一番の問題児のイオは、自分だけは大丈夫だと思っているようだ。
「問題は選抜方法だな!」
通常こういう場合の選抜は1対1の模擬戦や、パーティーごとの集団戦がある。シュバはパーティ―戦ならば、可能性があると考えていた。
「えー、冒険者、傭兵の諸君、今から選抜方法をお伝えします」
「人数が多いため個人毎の模擬戦は時間の関係で難しいと判断しました。4人1組のパーティー戦とします。個人で登録した方や、人数が足らない方はそれぞれでパーティーメンバーを探してください。」
先ほどの小隊長が箱の上にのって、説明をしている。
「ブーブーブー」
個人戦希望の者がクレームをつけてきている。
「時間もないことからクレームは一切受け付けません」
「なお、パーティ―戦で1勝すれば、そのパーティーメンバー全員を採用します!」
小隊長はそういうと再び受付の窓口に向かった。
「パーティメンバーがそろった方は、こちらに登録に来てください。ランダムにこちらで対戦相手を選んで戦ってもらいます」
小隊長はすべてのクレームを完全に無視して淡々と進めている。
「なお、採用人数が千人に達し次第、締め切りとします。まだパーティーが揃っていない方はお早めに!」
これまで文句を言っていた者たちは一斉に受付に殺到した。
シュバ達も慌てて列に並んだ。
「これで、可能性が出てきたな!」
シュバは笑顔を見せた。
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