参陣
「シュバきいたか!」
クニがあわてて部屋に入ってきた。デンとイオも部屋で待機していた。
「ああ、とうとう戦争だな!」
シュバは思ったより冷静だった。
「それだけじゃない、おれたち冒険者も一緒に参加できるって! どうするんだ?」
クニはかなり興奮していた。
「そうだな・・・・」
シュバは迷っていた。もちろんゴブリン討伐には参加したいと思っている。しかしシンシン村はできたばかりだ! 今自分たちが村を離れていいもんだろうかと・・・・
その時、ヤシ村長が入ってきた。
「シュバ殿よろしいかな。 村のことは心配せずに、シュバ殿たちは存分に戦ってきてください!」
「まだまだ頼りないとは思いますが、一応自警団も組織して訓練も始めております! この戦争でゴブリンたちもこんな辺境まで来る余裕はないでしょう!」
ヤシ村長は力強くシュバに語りかけた。
「ヤシ村長! わかりましたシンシン村のことはよろしくお願いします。お言葉に甘えてわれら一同、戦争に参加しようと思います」
シュバは立ち上がってヤシ村長と握手を交わした。
クニ、デン、イオもシュバの手の上に手を重ねた。
シュバ達は翌朝馬車に荷物を詰めて、シンシン村を出発した。
「ハジメ、お前は村に残ってもよかったんだぞ」
シュバは馬車の手綱を握りながら隣に座るハジメと話をしていた。ハジメはシンシン村の村づくりに協力して村の皆ととても仲良くしていた。皆迫害されて、シンシン村にやってきた住民たちばかりである。 最初こそハジメのゴブリンとしての見た目に驚いたりしていたが、すぐに同じ村の仲間として受け入れてくれた。
「いえ、ぼくはイオさんの従魔です。イオさんの行くところはボクもお供します! それにゴブリンのぼくが役に立つこともあると思うんです」
ハジメはいい顔をして話している。シュバ達にとって、ハジメはもはや従魔ではなく仲間であった。クニに至っては、イオはいらないからハジメだけでいいと真剣に思っていた。
シュバ達は冒険者や傭兵の遊撃隊の集合場所に向かっていた。
「デンよ、この戦争で活躍したら、騎士団に雇ってもらえるらしいぞ!」
クニは少しワクワクしながらデンに話した。
「オラはそんな窮屈そうな生活は無理だよ!」
デンはその気がないようだ。
「そうかー、オレは騎士団って、なんかかっこいいなって子供の時から憧れてるがな!」
クニは真剣に騎士団志望のようだ!
「なんだ、クニ! お前騎士団に行っちゃうのか」
シュバは2人の話を聞いてクニに聞いてみた。
「いや、あくまで憧れてるだけだ。シュバ達を裏切ってそんなとこにはいかないよ」
興奮していたクニはシュバに話をきかれて、少し声が小さくなった。
「大丈夫だよ、クニ! オレはみんなを縛るつもりはないから、騎士団に行きたいって思ったら遠慮するな!」
シュバはニコニコしている。さみしいという気持ちはあるが、それ以上にみんなの夢をかなえてあげたかった。
「そ、そうか!」
クニはシュバの話をきいて、真剣に考え込んだ。
「おいおい」
デンはそんなクニを見ながらニコニコしていた。
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