突然の提案
シュバの発した言葉の意味が村長は理解でいなかった。
「冒険者殿、それはどのような意味でしょうか?」
シュバはハジメが仲間になった時に考えていたことがあった。ゴブリンの国ができて、人間とゴブリンのハーフが少なからず増えていた。彼ら、彼女らは人間社会でもゴブリン社会でも差別、迫害等を受けている。そんなハーフのいる場所を作ってあげたいと思っていた。
「村長、皆さんがこの村を出て行かれるなら、この村をオレにください。 オレはこの村をゴブリンと人間のハーフの住める村にしたいです! ちょうどオレ達にはゴブリンの仲間もいます」
シュバは本気であった。
「お、おいシュバ何言ってるんだ?」
クニやデンは突然のことですぐには理解できなかった。
「わかりました! あなたのいうような村が本当にできるのか分かりませんが、その実現を願っています!」
村長はシュバの手を握り村を託した。
「はい、ありがとうございます」
シュバもがっちり村長の手を握り、目をキラキラさせている。
数日後、村民たちは王都に向かって出発した。
心配していたゴブリンの襲撃はなかった。
「デン、クニ、イオ、勝手に決めて悪かったが、おれたちはしばらくこの村を拠点にしようと思う」
シュバは頭を下げた。
「オラもちょうど自分たちの村が欲しいと思ってただよ!」
デンはシュバの頭をヘッドロックして手荒に了解した。
「まあ、シンを待つ意味でもいいんじゃないか!」
クニも問題ないようだ!
「村の名前はなんにするんだ?」
イオはその先のことを考えていた。
「そうだな、シンを待つというなら・・・・」
シュバは考え込んだ!
「シンシン村だ」
イオが軽く発言した。
「おっ、悪くないんじゃないか」
クニは気に入ったようだ。
「そうだ、いいんじゃないだか」
デンもイオをぐしゃぐしゃしながら賛同した。
「よし今日からここはシンシン村だ」
さっそくシュバ達は村の入口にシンシン村の看板を設置した。
今この街には、4人の他には身ごもった娘さんと、ハジメがいる。シンはゴブリンのハーフの人たちが気軽に移住できるように各町の掲示板に、この村のことを書いたポスターを張ってもらうように記入した手紙を各町に配った。
「よし、これでこの村の住人を増えていくだろう!」
やがて、この村で最初の赤ん坊が生まれた。
「おぎゃー、おぎゃー」
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