逃走
デンとクニは剣を持ちながらホブゴブリンに近づいたり離れたして、ホブゴブリンの注意を何とかひいている。
「シュバ、そんなに長くはもたないぞ!」
「大丈夫だ!」
「ブラックボール改」
シュバの手のひらの上に黒い玉ができた。
「くらえー!」
シュバは勢いをつけて、黒い玉をホブゴブリンに投げつけた。
シュバの投げた球はホブゴブリンの心臓めがけて飛んでいく。
「キキッキキー」
怪しい黒い玉が飛んできたのを見たホブゴブリンは、持っている大斧で弾こうと振り降ろした。ブラックボールは大斧などないかのように大斧を破壊しそのままホブゴブリンに飛んでいった。
「ぐあああああああああっ!」
ブラックボールはホブゴブリンの右手の肘のあたりを消滅させ、振り回していた右手は肘から先が遠心力で吹き飛んだ。
右手を失ったホブゴブリンは叫びながら転がっている。
シュバは、焦っていた!ブラックボールはホブゴブリンの右手と大斧を破壊したが、絶命するには至ってない。後は、剣で戦うしかないからだ!
デンとクニがシュバのところにやってきた。
「シュバ、やったな!」
「だけど、これからどうするか・・・・」
シュバの顔は曇っていた。
痛みでころがっていた、ホブゴブリンはやがて立ち上がってシュバを睨んでいる。かなり怒っているようだ。だが、ホブゴブリンとしても、右手を失い大斧も砕かれてしまった。
シュバ、クニ、デンの3人はぞれぞれ剣を構えホブゴブリンを睨みかえしている。
双方決め手がない状態でのにらみ合いである。
「おい、これどうするだ?」
デンはシュバを横目で見て不安そうだ。
「どうするも何もやるしかないだろう!」
シュバはいつでも飛びかかれるよう、隙を見計らっている。
「ダダッダダダダッダダダダダ!」
突如、ホブゴブリンは反転して走り出した。
「えっ?」
突然の出来事にシュバ達はあっけにとられてしまった。
「お、おい! おいかけるか?」
クニが追いかけようとしたとき、シュバがクニの手を掴み引き留めた。
「いや、待て! このまま逃げてくれるならそれで・・・・」
シュバはホブゴブリンの後ろ姿を見て、助かったと思ってしまった。
自分たちの剣による攻撃力であの大物を仕留める自信がなかった。
「そ、そうだな!」
クニとデンもシュバの考えに納得したようだ。
「そ、そうだ! ハジメは?」
シュバ達は思い出したよう2人のもとに駆け寄った。
「イオ、ハジメは大丈夫か?」
クニはイオに確認した。
「ハジメが、ハジメが――――――!」
イオは叫んでばかりで要領を得ない。
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