ハジメの活躍
「ハジメありがとう! 悪いがもう一度行ってほしい。今度はオレと一緒に!」
シュバは仲間とはいえ、従魔に頭を下げた。もともと貴族であったシュバであったが、シンとともに旅をして身分や人種など何の意味もないと気づいたようだ。
「頭をあげてください・・・・」
ハジメは恐縮していた。
「ボクにできることがあったら何でも言ってください。ボクで役に立つなら何でもします!」
ハジメは初めて誰かから必要とされて、とても嬉しかった。
「ありがとう」
シュバはニコッと笑って頭をあげた。
「トントントン」
はじめは再び先ほどの家の扉をたたいた。
同じように女が扉を開けた。
「キキキー」
中のゴブリンは何やら怒っているようだ。
ハジメは気にせず家の中にはいった。
「キキキーキ」
なにやら中のゴブリンに話しかけた。
もしハジメが裏切っていたら、この時点で作戦は失敗だ。
しかし、シュバ達はもはやハジメの事を微塵も疑ってはいない!
シュバはハジメの陰に隠れてすかさず家の中に入った。女性はシュバの姿を見て一瞬驚いたようだったが、何も言わなかった。
シュバはソファの陰に隠れた。デンとクニは家の外でいつでも踏み込めるように待機している。イオはいつものように見張りだ。
「キキキキー」
ゴブリンは怒ってハジメに近づいてきた。ハジメはそれに合わせて入口の方に後ずさりした。
「ザシュッ!」
シュバはゴブリンの背後からゴブリンの背中を一突きした。
「キ・・・・・」
ゴブリンは断末魔をあげようとしたが、すかさずハジメが口をふさいだ!
女性は驚いて腰が抜けたようだ。
シュバはすぐに扉を開けてデンとクニを家の中に入れた。イオはそのまま見張りを続けている。
シュバは目と指でデンとクニに合図して、奥の部屋に向かった。ハジメには女性の面倒をお願いした。
奥の部屋の扉を開けると、ゴブリンがベッドに寝ている。隣の部屋にはもう一人の女性が震えて座り込んでいる。どうやら、一連の襲撃を見ていたようだ。
「しーっ」
シュバは女性に指を立てて静かにするように伝えた。女性は無言で首を縦に振った。どうやらわかってくれたようだ。
シュバは寝ているゴブリンの口をふさぐと同時に胸を剣で刺した。
「グッググッグッグ」
ゴブリンはしばらく暴れたのち、絶命した。
デンとクニはそれぞれ女性たちに話をして落ち着かせた。
これでシュバ達は、この村のゴブリンを7体倒したことになる。おそらく後ゴブリンがいる家は1つか2つだろうと思われた。
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