初めての従魔
ゴブリンはイオの隣に立って、ペコっとお辞儀をした。
「ええええええっ!」
声を出してしまったシュバは慌てて自分の口を両手で押さえた。
「おれにも、こいつが従魔というのが分かるんだ! 時間はかかったが、やっとオレにもちゃんとした従魔ができたんだ!」
イオはニコニコ顔だ
「なるほど、それはおめでとう」
シュバは驚きと戸惑いの表情である。
「とりあえず、ここでは目立つ! いったんあっちへ行くぞ!」
シュバ隊は入口の近くの茂みに一旦移動した。
「それで従魔になったお前はなんていう名前なんだ?」
クニはゴブリンに尋ねた。
「ぼくに名前はありません。できればイオ様につけていただきたいです」
ゴブリンはイオの方を見つめている。
「な、名前か! オレそんなこと初めてだよ!」
イオは、戸惑いながらも満更ではない様子だ。
「よし決めた」
「お前の名前はハジメだ! 何せオレの記念すべきはじめての従魔だからな!」
イオは嬉しそうだ!
「ハジメですか! ありがとうございます!」
ハジメも名前を付けてもらい嬉しそうだ。
「だけど、ハジメどうしてイオの従魔なんかになったんだ?」
シュバは疑問に感じていたことを訪ねた。確かに聞きたいことではあろうが、かなり失礼な質問である。
「はい、なんだがとても温かい気持ちになって。この人の仲間になりたいって感じでした」
ハジメは正直に答えた。
「変わった奴だな、お前!」
クニはハジメの背中をたたき、笑いかけた。
はじめを仲間と認めたようだ。
「ハジメ、オラはデンだ、よろしくな!」
デンもはじめと握手をして、仲間として受け入れた。
「ほら、シュバも!」
「お、おう! よろしく!」
シュバは切りかかった手前、ばつが悪そうであるが、握手をしてわだかまりはなさそうだ。
「それじゃ、ハジメ! お前に聞きたいことがあるんだ!」
クニは真面目な顔になってハジメに質問した。
「お前にとっては仲間の情報売るみたいな形になって嫌だとは思うが、お前もオレ達の仲間になったんだ。協力してほしい」
「おれ達はこの村をゴブリンから救いたい! ゴブリンの人数や、今どの建物にいるか教えてほしい」
シュバがリーダーとして聞きにくいことを聞いた。
「申し訳ありません。僕は答えられません・・・・」
ハジメは申し訳なさそうに頭を下げた。
「そうか、やっぱりな! 所詮魔物か・・・・」
クニは吐き捨てるようにいった。
「いや、クニ。そうじゃない! いくら従魔になったとはいえ、今まで仲間だったものを売れというおれたちの方がおかしいんだ! すまなかったハジメ」
シュバはハジメに対して深々と頭を下げた。
「そうだな、オレが悪かった」
クニとデンも同じようにハジメに頭を下げた。
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