夜の作戦2
追撃を諦めたシュバのところにデンとクニが駆け寄ってきた。
「どうする、シュバ!」
クニは危機的状況だと感じていた。
「もはや、猶予はない! 当初の作戦は終了だ! 一気に村の中に突撃しよう」
シュバは苦々しい表情をしている。
「ちょ、ちょっと待て!」
イオが話に割り込んできた。
「悪いイオ、今お前の相手をしている余裕はない!」
シュバはイオの言葉を一蹴した。
「そうじゃない・・・・」
珍しくイオは粘った。
「おい、イオ。いい加減にしろ今は時間がないんだ」
クニは怒り顔だ。
「だから、そうじゃないんだ! あいつは大丈夫だから!」
イオは必死だ!
「もう行くだよ」
デンはシュバとクニの背中を押して村の中に向かおうとした。
誰もイオの言葉を聞いてくれない。かわいそうなようだが普段のイオの言動から来ているのだろう。
「あいつは、あのゴブリンはオレの従魔だ!」
イオは少し大きな声で3人に訴えた。
シュバ達3人は一瞬シュバの顔を見てお互い顔を見合わせた。
「ないない」
「ははは」
シュバとクニは鼻で笑った。
「ポンポン」
デンはイオの背中を軽くたたいて励ましてくれた。
「よし、行くぞ! 気合を入れろ!」
シュバ達は剣を抜いて村の方を目指した。
「おいおい、なんでだよ話を聞けよ!」
イオの話を3人は無視して、誰も聞いてくれない。これはやりすぎである。
「イオの言うことは、本当だよ」
その時どこからか、高い小さな声が聞こえた。
「誰だ?」
シュバは剣を構えて警戒した。
「ぼくです・・・・」
柱の陰から、さっきのゴブリンが現れた。
「お前は!」
シュバはゴブリンに向かって剣を振り降ろした。
「ちょっと待つだ!」
デンがシュバの剣を止めた。
「様子がおかしいだよ!」
「ああ、どうやらイオの言うことは本当のようだぞ」
クニもゴブリンとイオの様子を見て本当に従魔契約ができたとわかったようだ。
「まさか! お前は本当にイオの従魔か」
いまだ半信半疑のシュバはゴブリンに面と向かって問いただした。
「はい、先ほど、僕とイオさんは従魔契約を結びました!」
ゴブリンの彼は一瞬笑ったような表情をした。
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