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食料

 マルオとシュバインは、人里を避けと山小屋に向かっていた。途中、木の実や木の皮等を食べながら、1週間過ごしていた。

「まるちゃん、さすがにこの食生活では山小屋まで持たない。リスクはあるが人のいるところまでいってみようと思う」

 魔王軍幹部として贅沢に過ごして来たシュバインにとって、木の実と木の皮だけの食生活は耐えられないものとなっていた。

「シュバちゃんが、そういうなら僕はシュバちゃんについていくよ」

 二人は1週間ですっかり、「シュバちゃん」「まるちゃん」の呼び名に馴染んでいた。

「よしここから2日ほど進んだところに小さな村があったはずじゃ。そこで果物やパンなど手に入れよう」

 シュバインとマルオは人のいる村に向かうことにした。マルオにとっては、人の集まる村に行くのは初めてである。フードを着ているからといっても、マルオの見た目は醜いゴブリンである。マルオは不安な気持ちを持ちながらも、村に行くことに大きな期待も少なからずあったのある。

 2日と少し森の中を進んだときシュバインがいった。

「おそらく、この先に村がある。わしが先にいって様子を見てくる。まるちゃんは少しここで待っていてくれ」

 そういうとシュバインは、村の偵察に向かった。


 マルオはシュバインを待っている間、いつものように木の実や木の皮を集めていた。マルオにとっては、異世界に転生してから、そんなものしか口にしたことがなかったので、シュバインのようにこの食生活で不満はありながらも我慢できないほどのことではなかった。


「まあ、おれは1年こんなものしか食べてこなかったからおかしくなってるけど、シュバちゃんの言うことの方が普通なんだとろうな」

 そんな独り言を放していると、シュバインが向かった方から、大きな音がした。


「バサバサ、バサバサ」

「マルちゃん、走れ!」

 シュバインがものすごい勢いでこちらに向かってきている。手にはパンやリンゴのような果物を抱えている。

 マルオは戸惑いながらも死に物狂いで駆け出した!


「シュバちゃん、どういうこと?」

「説明は後じゃ、とにかく今は奴らをまかないと!」

 マルオとシュバインは2時間ほどひたすら山道を走りぬいた!

「はあ、はあ、はあ」

「ここまでこれば、もう大丈夫じゃろう!」

 シュバインは座り込んでしまった。


「シュバちゃん、一体どういうこと。その食料はどうしたの?」

 マルオは走りながらも食料を抱えながら今も話していないシュバインをみて問いかけた。


「盗んだに決まっておるだろう!」


「えっ!」

「僕はシュバちゃんが村で食料を買うのかと思っていたよ」

 

「金などわしが持っておるはずなかろう。こっそりと食料をとってこようと思っておったが、見つかってしまったわい」

「たかが、パンや、リンゴをとったくらいで、こん棒もって、あの人数で追いかけてくるとは、やはり人間は野蛮だな!」

 シュバインは盗んだことは棚に上げ、追いかけていた村人を責めた。


「いやいや、泥棒捕まえようとするの普通だから!」

 マルオはあきれながらも、いまだに息を切らしてるシュバインを見て少しほっこりとした気分になった。


「ほれ、まるちゃんこれでも食べな!」

 シュバインは握りしめていたパンをマルオに手渡した。

 マルオはパンを受け取るとかじりながらシュバインの隣に座った。


「今度はもうすこし、うまくやらないとな」

 シュバインは悪気なく話している。


「ハイハイ」

 マルオはまた、走ることになりそうだと確信していた・・・・


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