マウント王国
闇が世界を覆った後、「人類大同盟」を結んだ人間界であったが、次第にそれぞれの思惑が交差し、人間界の勢力図も少しずつ変わっていった。
その中で周辺の小国を統一新興国であるマウント王国があった。マウント王国の初代王ブオは怒りに震えていた。
「ゴブリンごときに、領土を奪われるとは、どういうことだ!」
今やゴブリン王となったミトはシュバの父である大司祭が治めていた街跡に巨大な城を建て、周辺地域をことごとく支配下におさめていた。
その勢いはとどまることを知らず、わずか数ケ月の間に、マウント王国の3分の1がゴブリンの支配下になっていた。
「王、騎士団だけではゴブリンに対抗できません。ここは冒険者に助力を!」
「いやいや、我ら騎士団だけでゴブリンを撃ち滅ぼしてみせます」
「そもそも、戦うというのが間違っておる。和睦を!」
様々な意見が飛び交っている。しかし、どの意見もブオ王を満足させるものではなかった。
「王、われわれ王国特殊部隊がゴブリン城に潜入し、奴らの王を抹殺いたしましょう」
王国特殊部隊は、王国立国に大きくかかわった、精鋭による裏の仕事を行う部隊である。
彼らによって、マウント王国ができたといっても過言ではなった。
「そなたに任せる」
ブオ王は特殊部隊を預かるセロ将軍に声をかけた。彼女は女性でありながら180cmを超える長身で、剣の腕は王国一であった。
「は、必ずやわれらの手で奴らを撃ち滅ぼしましょう」
セロ将軍は力強く答えた。
セロは王城をあとにすると、すぐに特殊部隊の本部に向かった。
「将軍! いかがでしたか?」
最初に声をかけてきたのは、大きな亀の甲羅を背負ったラオであった。ラオは2mを超える長身で筋肉隆々ありながら、特殊部隊きっての頭脳であった。
「われらに任せると、おっしゃられた」
セロ将軍は会議室の中央の椅子に座り、帰りをまっていた幹部たちに向かって答えた。
「おおおーっ」
幹部たちは椅子から立ち上がり歓声をあげた。
「それでは予定通り、進めてまいります。」
ラオは不敵な笑いを浮かべ、部屋を出て行った。
「われらの手にかかれば、ゴブリンなど、一ひねりですな」
幹部の一人がセロの機嫌を取るため、話しかけた。
「馬鹿者!」
セロは大机を蹴り上げた
重さ30キロはあろうかいう大机は宙を舞った。
「奴らをゴブリンだといって舐めるな」
「その舐め腐った態度が今の事態を招いていることを忘れるな」
将軍セロはゴブリン王の事を認めていた。
あの統率の取れない本能のままに行動するゴブリンをまとめあげ、一つの国を作ってしまったのだから。
「舐めるなとはいったが、我らが勝てないわけではない!」
「私とラオの立てた作戦通りに動けば、奴らは近い将来、この国からいなくなる」
「気合を入れる!」
セロは立ち上がった。
「おおっ」
幹部全員がセロに続いて立ち上がり気合を入れた。ゴブリンをなめているものなど、今や一人もいなかった。
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