シンを探して
シュバ、デン、クニ、 イオは避難した住民とともに聖騎士に守られ王都を目指していた。
「そなたたちは、避難民として王都にて保護する。街を守れなかったのは残念だが、避難してきた住民は我らが必ず守ってみせる」
騎士団長は、大司祭の子息であるシュバに語った。
「われらの仲間であるシンが行方不明です。私たちは王都に住民を送り届けたのちは、再びシンの捜索を続けます」
シュバは涙をこらえている。
「お気持ちはわかりますが、おそらく彼は・・・・」
聖騎士団長はそういうと、テントに戻っていった。
ゴブリン軍の追撃をかわしながら、街から逃げ出して3日ほどである。
住民を守る聖騎士たちにも疲れの色が色濃くみえている。
2週間後、一行は王都郊外の避難民受け入れ地に到着した。
「聖騎士団長殿、それではわれらはここで失礼します。住民たちの事、くれぐれもよろしくお願いいたします」
シュバは深々と頭を下げて、王都を去った。
再び、街に向かったシュバ達であったが、周辺の村々はゴブリン軍に占領され、街どころか、その近辺の村に近づくのも容易ではなかった。
「シュバ、このままここにいれば、おれたちの命も危ない。シンのことは一旦諦めるしか・・・・」
デンはクニ、イオの気持ちを代弁してシュバに語った。
「・・・・」
シュバは唇をかみしめていた。
「わかった。ダンジョンに向かおう。イオの宿屋に!」
「もはやシン自身も街に戻ることはできない。今行くとしたら、あの宿屋しかない!」
シュバ達はダンジョン都市アプロンドのイオの宿屋に向かった。
ゴブリンたちの村を避けるため、大きく迂回する必要があったため、戻るのには2カ月を要した。
「おう帰ったぞ!」
イオは元気よく声をかけた。
「おそい!」
「スパッ!」
青髪嫁はスリッパでイオの頭を思いっきりはたいた。
「痛っ」
「いきなりなにすんだよー」
イオは頭を抱えて文句を言っている。
「お帰り」
次の瞬間、青髪嫁はイオを抱きしめた。
イオもまんざらではないようで、顔を真っ赤にしている。
「イチャイチャしてるとこ悪いんだけど・・・・」
シュバが青髪嫁に声をかけた。
「あ、ああシュバも、お帰り!」
青髪嫁の目には涙がたまっていた。
「シンは、シンはいるか?」
シュバは声を荒げて尋ねた。
「えっ? シン、一緒じゃないの?」
青髪嫁は、シンがいないことに驚いている。
「そ、そうか、シンは来ていないのか・・・・」
シュバは肩を落としがっくりしている。
デン、クニ、イオも一気に暗い顔になった。
「ちょ、ちょっと・・・・」
いつも元気な青髪嫁も、どう声をかければわからなかった。
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