偵察
「このところ、毎日奴らの攻撃は激しさを増している。早急に敵司令官がいる場所を特定しなければならない」
聖騎士団長は大広間で会議を仕切っていた。
「すでに、数か所に絞られているが、1か所に特定するために、再度しっかりとした偵察が必要だ!」
聖騎士団長の声は力がこもっている。
「大変申し訳ないが、私とシン殿、シュバ殿には一緒に偵察に行ってもらいたい!」
彼が言うには、ステイタスの高い少人数での偵察が必要だということであった。
「わかりました、任せて下さい」
シンは力強く答えた。
シュバも無言で首を縦に振って応えた。
「すまない、恩にきる」
聖騎士団長と大司祭はともに深々頭を下げた。
「これはこの街だけの問題じゃない。人として戦っています」
シンは二人の頭をあげさせた。
夜も更けたころ、シン、シュバ、聖騎士団長は遺跡の通路を通って南門の近くのゴブリン軍の近くの森に身を潜めていた。
「そろそろいくぞ」
聖騎士団長は、音をたてないようにゴブリンの軍のテントに向かってゆっくりと進んだ。
ゴブリン軍は、さすがにほとんど眠っているようで、見張りの数体以外は、テントの中で眠っているようだ。
ゴブリンからしても、圧倒的多数で包囲しているため、まさかこんなところに人間が来るとは考えていないようであった。
「こっちだ」
聖騎士団長はひときわ大きく豪華なテントに向かっている。
シンとシュバは、あたりを警戒しながら聖騎士団長の後をついていった。
テントの前には2体のゴブリンが見張りをしているが、夜も更けているためうとうとしていた。
「ここで待っていてくれ!」
聖騎士団長はゆっくりと、見張りに近づいた。
「しゅっ」
「ばしゅっ」
聖騎士団長はあっという間に見張りのゴブリン2体をほぼ音もたてずに倒してしまった。
「すげえぇ!」
シンとシュバは、その鮮やかな剣さばきに見惚れてしまった
シュバは、これほど強いのならこのまま指揮官を暗殺できるんじゃないかと思っていた。
「こっちだ」
聖騎士団長は手招きしてシンとシュバを呼び寄せた。
「ここで見張りを頼む!」
どうやら聖騎士団長もシュバと同じように考えているようであった。
彼は音を立てずにテントの中に入っていった
聖騎士団長の眼前に、豪華なベッドで眠るゴブリンが眠っていた。
彼は剣を振りかぶりゴブリンを攻撃しようとした。
「ああっああああああああああああああああああああっ」
ベッドで眠っていたゴブリンは突然目を開けた。その目を見た聖騎士団長は頭を抱えて、大声上げながら苦しみだした。
「シュバは、ここにいてくれ」
聖騎士団長の声を聴いたシンは次の瞬間、テントの中に駆けつけた。
目の前で聖騎士団長が転げまわっていた。
シンは聖騎士団長をわきに抱えテントを飛び出した。
シンはテントにはいた瞬間、ベッドの上で冷ややかに笑うゴブリンと目が合った。その冷笑にシンの体は無意識に震えていた。
「シュバ、逃げるぞ!」
聖騎士団長を抱えたシンとシュバは全速力でゴブリン軍から逃げ出した。
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