帰還
「あの出口の先が街の中に繋がっているはずだ」
シュバは明かりが見えた方向に走っていった。
シン達は、シュバの後を追った。
出口を出て、シンが最初に見た光景は大勢の兵士に槍を突き付けられて手をあげているシュバの姿であった。
シンは背中の斧に手をかけた。
「まて、まて!」
鎧を着た大柄の男が速足でシン達の方にかけてきた。
「槍を収めろ」
男の指示で兵たちは槍を素直に収めた。
「大変申しわけありません! シュバ様」
聖騎士団の副団長であった。
「いや、こういう状況だから、仕方ない。 気にするな!」
いつものシュバと違い凛々しく言葉を交わしていた。
「彼らは私の仲間だ! 救援要請に駆けつけてきた!」
シュバはシンたちを一人ずつ紹介した。
「では、大司祭さんのところにご案内します」
シュバ達は副団長の案内でシュバの父である大司祭のいるところ屋敷に向かった。
15分ほど歩いた先の大きな屋敷の中に本部が置かれていた。シュバ達は2階にある大広間に通された。
「シュバ様をお連れ致しました」
広間の中にはシュバの父である大司祭の他、軍人や貴族のような数人がテーブルを囲んで何やら話をしていた。
「おお、シュバ! よくぞ帰ってきてくれた」
大司祭はシュバを抱きしめて涙ぐんでいた。
昔のイメージはもっと冷たい人だと思っていたシンであったが、年齢を重ねて丸くなったようだ。
「父うえ、遅くなり申し訳ありませんでした」
シュバは町の外にいる騎士団との話を説明した。
「なるほど、しかし街の中の兵士も500人ほど。 まともに戦っても勝利は難しいな」
大司祭は現状の厳しい状況に力なく語った。
「勝機があるとしたら、やはり指揮官を討つことでしょうな」
聖騎士団長が話に入ってきた。
「敵の指揮官とは?」
シンが聖騎士団長に尋ねた。
「ここが包囲されて、すでに1カ月以上です。我々もゴブリンたちと何度も戦い奴らには、優秀な指揮官がいることが分かっています。」
聖騎士団長は神妙な面持ちで答えた。
「それはゴブリンキングですか?」
シンが続けて質問した。
「わかりません、私体も何度か、偵察したんですが、一向に姿を現しません」
聖騎士団長は腕を組んだまま、思い悩んでいる。
会議は朝方まで続いた・・・・