遺跡群
「我々がなんとか、町の中に入って、皆さんと街中との連絡役になります」
シュバが騎士団長に提案した。
「それはありがたいですが、何分町の周りをゴブリンに囲まれています。どうやって中に入るつもりですか」
騎士団長はもっともな質問をした。
「まだ、ルートを見つけたわけではないですが、私とこのシンはこの町で育ちました。この辺りのことは誰よりもよく知ってます。」
シュバは自信をもって話している。
こういう時のシュバは頼りになる。シンはどうも、こういう輩と話するのは苦手であった。
「わかりました。ではご子息にお任せします」
それから騎士団長とシュバは今後の作戦を詳しく練っていった。
シン一行は騎士団と離れ、予定通り西門へと向かった。町は直径10キロの壁に四方が囲まれていた。
魔物が溢れるようになって、バイン大司祭は、本拠地を捨て、この強固な壁があるこの町に避難してきたのであった。
「シン、この辺りにいると、昔二人で狩りごっこしてたことを思い出すな!」
「そろそろ、馬車を隠して歩くか!」
シン達は、近くの森に馬車を隠して、歩いて西の門を目指した。
「やはりここにもいるな!」
西門の周辺にも大量のゴブリンが包囲していた。
「やっぱりいるだな! 他の門に行くだか?」
デンは北門に向かって歩き出そうとした。
「デン待て!」
シュバはデンを引き留めた。
「こっちだ!」
シュバは西門から、さらに森の奥に歩き出した。
「あそこに行くのか?」
シンは何か心当たりがあるようだ!
「ああ、まともには入れてくれないようだからな! 気は進まないが行くしかないだろう」
シュバとシンの顔は浮かないようだ。
森の奥に向かって1時間ほど歩いたとき、古い遺跡群が現れた。
「な、なんだべ、これは!」
デンとクニ、イオが驚いている。
「おれ達もこれが何なのか詳しいことはわからないんだが、この地下から、街中まで歩いていくことができる」
シンはデンたちに説明したが、その顔はやはり苦々しい顔をしていた。
「こんなとこあるんなら、もっと早くこればよかっただろ!」
イオが珍しくもっともなことをシンに話した。
「そ、それはな! なるべくここには来たくなかったんだよ」
シュバが横からイオに答えた。
「どうして?」
イオが首をかしげている