教会にて
「オレがいくから、ここにいてくれ」
シンは小声で、シュバとイオにはなした。
シュバは目で合図した。
イオも今度は無言で首を縦に振った。
シンはゴブリンの真上の柱をゆっくりと移動した。
「ここだな!」
「シュタッ!」
シンは真下にいる2体のゴブリンを確認すると、柱から飛び降りた。
「イッ!」
ゴブリンたちは突然現れたシンに驚いて、一瞬硬直してしまった。
シンはその隙を見逃さなかった。
「シュパッ!」
シンは背中に装備していた鉄斧を右手に持ち替えて、180度振り回した。
「ドサッ」
2体のゴブリンは、胴体で上下に真っ二つにされて、上半身が床に転げ落ちた。
「バタッ」
時間差で下半身も地面に倒れた。
「おおっ、やった!」
上から見てたイオは歓声を上げた。
「しっ!」
横にいたシュバはイオを剣の鞘で数回叩いた。
シンはゴブリンの死体を見つからないように廃材で隠してシュバとイオのところに戻った。
「急ごう!」
3人は、さらに上を目指して進んだ。
「ここでいいだろう!」
最上階の大鐘がつるされている小部屋についた3人は物陰に隠れながら、町を包囲しているゴブリンを観察した。
シンはこの世界にゴブリンとして転生している。ゴブリンを2体殺したことも、これからゴブリンと戦うことも、心情的には複雑であった。
「こうやって見ると、ゴブリンたちは軍隊のように統制されてるな!」
シュバが率直な感想を語った。
ゴブリン軍のほとんどは、シンが倒したようなただのゴブリンのようだが、ゴブリン数十体に1体ほどはホブゴブリンがいる。さらにゴブリンナイトやゴブリンジェネラルが指揮を執っているようだ。
「上位種の数が思ったより多いな!」
シュバは冷静に分析している。
「あれが上位種なのか! ゴブリンキングもいるのか?」
シンはシュバに尋ねた。
「いや、オレもキングは見たことないが、あの中には見当たらないな」
シュバは幼いころから、魔物の種類など、教育を受けているため、シンやイオよりもかなり詳しかった。
「街に何とか入らないとな! とりあえずデン達のところに戻ろう!」
シン達は教会を出て、隠れているデンたちのところに向かった。
こちらも連載中なので是非読んで頂けるとうれしいです。
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