偵察
「よし行くか!」
シン達は故郷に向かって出発した。
間もなく夕方が近づいていたころ町の城壁がシン達の目に入ってきた。
その光景を見た彼らは信じられないような思いであった。
城壁の周りを大量のゴブリンが囲んでいた。
その数は数千なのか数万なのか判別はつかなかったが、絶望感だけがシン達に漂った。
「と、止まれ!」
ゴブリンの大群を見て、呆然としながら馬車を進めていたことに気が付いたシンは急いで手綱を持っていたシュバに声をかけた。
「あ、ああ」
シュバはシンに声をかけられて急いで馬車を止めた。
「このまま進んでも、町に入れない! どこかに身を隠すぞ!」
シン達は町の近くの森に馬車を隠した。
デンとクニに馬車の番を頼んだ、シン、シュバ、イオの3人はゴブリン軍の偵察に向かった。
「いいか、イオ! ついてくるのはいいが、勝手な真似は絶対にするなよ!」
シンはいつも以上にしっかりとイオに念を押した。
この大群のゴブリンに囲まれたら、いつものイオのドジでしたではすまない事態に陥るからである。
「わ、わかってるよ!」
イオはぶるぶる震えながらシンの後をついてきていた。
イオは、デンとクニと馬車のところに残るよりはシンにくっついている方が安全だと感じたようだ。
「シン、この近くに使われていない、郊外の教会があるんだ。あの屋根の上からならゴブリン軍が見渡せると思う」
シュバは、以前肝試しに来たことがあった教会の事を思い出した。
シン達は教会の裏口から中に入った。教会の中は、数十年使われていないようで、柱が倒れ、草木が侵食していた。
「イオ、あちこちものが散乱してるから、音をたてないようにな」
シンはかなり不安であった。
「ガシャシャン」
お約束のように、イオが倒れていたタンスを蹴飛ばして大きな音を立てな。
「イオ―っ」
シュバが小声でイオを睨みつけた。
シンはしばらく周りを警戒したが、大丈夫のようだった。
シン達は、倒れてる柱を利用して、上階に向かった。
その時、入口の方から物音がした。
「いいいーっ」
2体のゴブリンが教会に入ってきた。
イオが出した音に反応して偵察に来たようだ。
「しーっ」
シンは人差し指口の前でたてて、シュバとイオに合図した。
「んっ? 何?」
イオがシンのジェスチャーに声を出して反応してしまった。
「いいいいいいっ」
2匹のゴブリンが騒いでいる。
「・・・・」
シンはイオを睨みつけた。
「?」
イオは何を怒られてるかわかっていないようだ。
こちらも連載中なので是非読んで頂けるとうれしいです。
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