シンとシュバの休日
「おっ!」
シュバの竿に魚がかかったようだ。
「おおおおおっ」
思ったより引きが強くシュバは立ち上がって興奮していた。
「ふぉふぉっふぉ!」
「焦っては、獲物を逃がすぞ! まずは落ち着くことじゃ」
隣の老人はシュバの横に立って、アドバイスをしてきた。
「わ、わかってるよ!」
シュバは冷静にタイミングを見計らって竿をあげた。
青黒い1mほどの魚であった。
「おおっ、やったぞ」
シュバはもうすっかり昨日のことは忘れていた。
「おおっ、なかなかの大物じゃ! ダンジョンでも今後はそうやって落ち着いての!ふぉっふぉっふぉっ」
老人は笑いながら去っていった!
「あのじじい・・・・」
シュバの顔は真っ赤になっていた。
シュバは、釣りをそのまま続けて、さらに2匹の魚を釣り上げた。
「すっかり夕方になっちゃったな!」
シュバはすっきりした表情で満足げに宿屋に戻っていった。
一方、シンはダンジョン街の通りを散策していた。
「この辺りは初めて来るなー」
シンはふらっと雑貨屋ののれんをくぐった。
「いらっしゃい」
そこには長く白いひげを生やした老人がいた
「これは何なんだ!」
シンは奇妙な顔をした手のひらほどの人形が目についた。
「ふぉっふぉっふぉっ。これはお目が高い、それは幸福を呼ぶドールじゃよ」
老人は強く進めてきた。
「えっ、い、いやー、見てただけなので」
そういうとシンはその人形を置いて他の商品を見るために店内をぶらぶらうろつき始めた。
「うーん」
やはり先ほどの人形がどうしても気になるようだ。
「すみません、この人形ですが、いくらでしょうか?」
シンはもはや、その人形を諦めることができないようだ。
「それは、金貨5枚じゃ!」
老人はさらっと答えた。
「た、高い!」
シンは諦めて店を出ようとした。
「だめだ!」
シンは振り返り、人形を手に取った。
「これください!」
シンは金貨5枚で幸福を呼ぶドールを購入した。
「ありがとうございました、ふぉっふぉっふぉっ」
老人は出口までシンを見送ってくれた。
「はぁ、買ってしまった!」
シンは満足げに人形を懐にしまって宿屋へ帰っていった」