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暗黙のルール

 シン達が列に並んでから5時間以上が経過した。時刻はすでに朝の7時を回っている。


「シン、おなか減ったな!」

 他のパーティーは列に並ぶことを前提で、食料を持参していた。


「どうする、まだ俺たちの順番が回ってくるまでには10時間くらいかかりそうだぞ! 今日もあきらめるのか」

 シュバはおなかが減って倒れそうだった。


「そうだ、誰か買い出しに行くっていうのはどうだ!」

 クニが提案した。

「そうだな、じゃあオレが買い物に行こうかな」

 シンが列を抜けようとした時、シン達の後ろに並ぶ冒険者の男が声をかけてきた。


「おれ達が、君たちのパーティの順番とっておいてあげるから、ご飯食べてきたらいいよ!」

 優しそうな男だった。


「そんな悪いですよ!」

 シンは迷ったが断わった。


「いやいや、困ったときは冒険者仲間っていうから! 今度おれたちが、おなか減ったときに順番とっておいてくれればいいから!」

 シンはなるほどと納得した。


「こう言ってくれてるし、ご飯に行こうか!」

 シン達4人は男に感謝して食事に向かった。


 デンは周りの冒険者が不敵な笑みを浮かべてることに、少しの違和感を覚えていた・・・・


「いやーっ 世の中にはいい人もいるもんだな」

 シュバはパンを片手にスープをすすりながら満足気に話している。


「よし、おなかもいっぱいになったし、ダンジョンに戻るか!」

 シン達はダンジョン外の屋台から再びダンジョンに向かって歩き出した。


「ありがとうございました。おかげでゆっくり食事をとることができました」

 シンはお礼を言って列に戻ろうとした。


「おいおい、勝手に割り込むなよ!」

「ボス部屋の列は割込み厳禁なんだぞ!」

 先ほどまで優しく笑っていた男は、鬼のような形相になっていた。


「えっ、あなたがとっておくから、行って来いって言ったんじゃないか!」

 シンは男の変貌に声を荒げて抗議した。


「おいおい、それはお前が悪いぜ! ダンジョン内の行列はたとえどんな理由があろうと一度外れたら、二度と戻ることは許されない! それがダンジョン内でもめ事を起こさせないための暗黙のルールなんだよ」

 他のパーティからシン達にヤジが飛んだ!


「お、おれ達騙されたのか・・・・」

 シン達は怒りに震えていた。


「ダンジョン内はだます奴より、だまされる奴の方が悪い!」

 シン達にあちこちから罵声が飛んできた。


「くそっ!」

 シンは怒りで固まってしまった。


「シン、勉強したと思って、ここは引こう!」

 デンがやさしくシンをなだめてきた。


 シン達4人は、結局何もできずに宿屋に戻ってきた。

 シンは無言でベッドに入り、怒りを押し殺しながら眠りについた・・・・


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