ボス部屋へ
「なんなんだ、この行列は!」
そこにはゆうに100人を超える行列があった。
「この行列は何の行列なんですか?」
シンは最後尾の男性に尋ねてみた。
「ああ、ボス部屋に入るための行列さ!」
並んでいたのは、1階層のボス部屋攻略のパーティーの行列だった。
その男の話によると、ボス部屋は毎日夜中の0時に新しい場所に移動するとの事だった。
つまり0時に新しく出現してから、24時間の間に、そのボス部屋に入らないことには、1階層のボス部屋を攻略することはできないということであった。
「おれ達も、ダメもとで並んでるんだけど、君たちも今から並んでもおそらく24時までに順番は回ってこないよ」
最後尾の男は、今日で3日連続でボス部屋に入れなったようだ。ボスは攻略されると1時間はクールタイムで出現しないとのことであった。
「おいおい、何だこりゃ!」
シュバは、肩を落としてがっかりしていた。
「おいおい今日何も持って帰らなかったら、奥さんに怒られちゃうよー」
イオは何かおかしなことを言っている。
「この分じゃ今日は無理だ、今日は諦めよう。」
「ちょっと辛いが0時にダンジョンに来ないか! そうすれば確実に入れるから」
シンは冷静だった。
「確かにこれじゃ無理だべ」
デンもあきらめ顔だった。
シン達は初日の攻略を諦めて、当初夕方行く予定だった冒険者ギルドに向かった。
「近かったな!」
シン達が向かったのはダンジョンから1番近いこの町では最も小さなギルドであった。
「おっ。ここに掲示板があるぜ! じゃあ、さっそく」
シュバはパーティメンバーの募集と書いたメモを掲示板に張ろうとした。
「ちょっと待ちな! 何勝手なことしてるんだい」
身長190cm程のがたいのいい女性が注意してきた。
「ここに情報載せるには銀貨3枚必要だよ! 成果報酬でさらに銀貨5枚が必要だ!」
「高いな!」
シュバは不満そうだった。確かにパーティメンバーの募集に合計銀貨8枚は少々高いようではある。
「何言ってんだい! このダンジョンには世界中から冒険者が集まってるんだよ! 情報は命だ 情報交換できる場所を格安でうちは提供してるんだよ」
なるほど、彼女の言うことも1理あった。酒場で見知らぬ人に声をかけるよりは、少々お金がかかっても冒険者ギルドの後ろ盾で仲間を集めることができるのは大きい!
シンはさっそく銀貨3枚を支払ってパーティメンバーを募集した。
「求む パーティメンバー回復役 こちらCランク冒険者」
シン達は手を合わせて掲示板の募集の紙にお祈りして冒険者ギルドを後にした。
「仕方ない、今日は早いが宿屋に帰って休もう! 明日は0時にダンジョンに来ないといけないからな!」
シン達は明日の備えて早々に宿屋に帰っていった。
イオだけはとても重い足取りであったようだ。