ダンジョンへ
翌朝、目を覚ましたシン達4人は、朝食をとるため1階の食堂に向かった。やはり他の客は誰も見当たらなかった。
「おはよう」
青髪ママが元気よく声をかけてきた。
おれたちは昨日と同じグロテスクな料理を朝から食べた。
味はやはり何故かおいしいのだった。
「よし、今日からダンジョンに行くぞ!」
シンは元気よく立ち上がった。
「オレも行くよ」
イオが現れた。
「リーダーだからな・・・・」
シュバは嫌味っぽくイオをいじめている。
「とにかく今日は初日だから無理せず1階層だ」
シン、シュバ、イオ、デン、クニの5人は宿屋の玄関を出て勇んで出発した。
宿谷からダンジョンまでは歩いて15分だ、その間には裏通りながら、通りの両脇に店が並んでなかなかに賑やかである。
シンはダンジョンに向かう途中、心配事に頭を悩ませていた。
シン達パーティで実質戦えるのは、シンとシュバのみ回復役もいない。どう考えてもあと最低1人か2人のパーティメンバーが必要である。
「イオ、今後パーティメンバーを増やそうと思う。この町で勧誘するのはやっぱり酒場がいいかな?」
シンはこの町が長いイオに尋ねてみた。
「酒場もいいけど、この町には冒険者ギルドが3つもあって、掲示板にメンバー募集してる張り紙をよくみるかな」
さすがこの町に長くいるだけはある。珍しくイオが頼もしく見えた。
「よし、ダンジョン探索が終わって帰りはギルドに寄ってみよう。イオ案内してくれ」
シンは少し見直したイオにお願いした。
「おう。まかせとけ!」
イオは嬉しそうだった。
シン達はダンジョンの前の広場についた。
朝ということもあり冒険者でごった返していた。
冒険者以外にも宿屋や酒場のチラシを配るもの、弁当屋、なにやら怪しいきれいなお姉さん等、冒険者相手に商売する人も多くいる。
その他には大きな祭りと間違うほど多くの出店があり、大道芸等のパフォーマンスもあちらこちらで見受けられた。
「ダンジョンってこんな賑やかなのか」
シュバはイオに尋ねた。
「この辺りは毎日がこんな感じだな! 冒険者だけでなくて親子連れの観光客なんかも来てるからな」
イオは自分の事のように自慢げだった。
シンやシュバ達は少し委縮しているようだったが、人の波をかき分けて、なんとかダンジョンの入口にたどり着いた。
「この扉の先がいよいよダンジョンだ! 気を抜くなよ!」
シンはパーティメンバーに声をかけた。
5人は扉を開けてダンジョン探索に出発した。