黒いスープ
シン達は不安な気持ちを押し殺し1階の食堂に向かった。
「おおっ、こっちこっち!」
イオはすでにテーブルについてシン達を待っていた。
「ママ、5人分よろしくね!」
イオは大きな声で注文してくれた。
「食堂おれたちしかいないけど、今日はお客さん少ないのか?」
シンはなんとなくイオに話しかけた。
「あっ、ああ。まあ、今週はシン達が初めてのお客さんかな・・・・」
イオはまた目を反らして話している。
「今週って今日金曜日だけど・・・・」
シンはなんとなくこの宿の現状を理解した。
「さあ、できたよ!お代わりもあるから、たらふく食べな!」
青髪おばさんと赤髪姉さんが食事を運んできてくれた。
「シ、シン! これ食べても大丈夫か?」
運ばれてきた料理は、魚やら鳥や野菜などがゴロゴロ入った真っ黒な具だくさんのスープだった。
「シ、シュバとりあえず食べてみろよ!」
シンはこそこそシュバに話した。
「い、いや、オレは・・・・
シュバは手を付ける勇気がないようだ・・・・」
「みんな、何してるんだ! 早く食べないと冷めちまうぞ」
イオはそういうと、その見たことがない異様な料理をがつがつ食べだした。
「えっ、イ、イオ、大丈夫なのか?」
シュバはおそるおそるイオに確認した。
「何言ってるんだシュバ! うまいぞ!」
イオは皿の料理をたいらげて、赤髪姉さんにお代わりをもらっている。
「じ、じゃあオレたちも食べるか」
シン達は恐る恐る目の前の料理に手を付けた。
「おっ、うまい!」
そのグロテスクな料理は見た目に反してうまかった。
「がつがつ」
「もくもく」
「ごくごく」
おなかが減っていた4人は、すぐに皿の料理をたいらげた。
「おかわりー」
シン達は何倍もお代わりして夕食を堪能した。
「腹いっぱいだ!」
シュバは久しぶりに満腹になって、食堂の椅子にもたれかかっている。
「みんな落ち着いたところで、これまでの話をするかー」
イオは赤髪姉さんとシン達のテーブルに座って、これまでの話を始めたのだった。