可能性
「2つ?」
「僕は何をすればいいのですか?」
マルオは老人に詰め寄った!
「落ち着かんか!」
「2つとは言ったが、実際は1つしかないようなものだ!」
「もう1つの方法にしても、ほとんど可能性がないかもしれない」
老人は可能性に飛びついたマルオを見て、話してしまったことを少々後悔したようだった。
「まず1つは、魔王様が復活もしくは新しい魔王様が現れることじゃ!」
「しかしこれはほぼないじゃろう。わしの知る限りこの世界の歴史が始まって数千年、魔王様が現れたのは、ただの1度、先代の魔王様のみじゃ!」
「そもそも、先代の魔王様以外に、そんな存在がいるとも思えんし、果たして他にあらわれる可能性があったとしても、千年、2千年先のことかもしれない。」
「この1つ目についてはほぼ0に近い可能性だな」
老人は、1つ目の話を聞いても、目をキラキラさせて2つ目の話を待っているマルオをみて、もう1つの話をするべきか迷っている。
「もう1つの方法とは何ですか?」
マルオは老人にさらに激しく詰め寄った!
「ええい、話すから落ち着かんか!」
「それは、」
「それは?」
「それは、そなたが人間になることじゃ!」
「人間になる?」
「そうじゃ、魔族や魔物では、今後いかに戦いを繰り返したところで、レベルもなければ、強くもなれない。そなたが力を得るためには人間になるしかない!」
「人間に?」
「私は人間になれるのですか?」
「人間になるには、どうすればよろしいのですか?」
老人はマルオの問いかけに困った顔をした。
「そなたが人間になれるかは、わしにはわからん!」
「当然、なる方法などわかるはずもない!」
マルオはその話を聞いて、一気に力が抜けた。
「なんだ、その話は! 人間になる? そんなできない話なら最初から聞かなければよかった!」
マルオは心底がっかりして、へたり込んでしまった。
老人はそんなマルオを見て、迷いに迷って次の言葉をマルオにかけた。
「魔族が人間になった話は聞いたことがある!」
「えっ!」
マルオは再び顔を上げ、老人の顔をみた。