補助者として
シンとシュバ、クニは商店でパンや、ビーフジャーキーのような干し肉を多量に買った。
「これだけあれば、当分は大丈夫だろう」
クニは満足げに話している。
シンとシュバはかなり不満だった。それほど大きな町ではないため期待はしていなかったが、やはりというか味のない干し肉や、石のように固いパンしか手に入らなかったからだ。
二人はそれを知ったとき、買うのは最低限の数にとどめて、次の町に期待するつもりだった。しかし、
「次の町に何日でたどり着けるかわからない。魔物もでる旅路で食料は余裕をもって出発するべきだ!」
というクニの正論に反論できなかったためだ。
翌朝、デンを含めた4人は食料を馬車に詰め込んだ。馬車はデンによって完璧にし整備されていた。
「よし出発だ!」
デンの元気な掛け声で馬車が動き出した。
手綱は一応シュバが握っている。
「なんだか、馬車と食料が揃うと本格的に冒険者パーティといった感じになったな!」
クニとデンのテンションが異常に高い!
「そ、そうだな・・・・」
シンとシュバは、少しそのテンションについていけないでいた・・・・
「ところでデン、馬車が手に入ってシェルパの仕事はそれほど必要なくなってしまうが、冒険者登録しなくていいのか?」
シンはデンに尋ねた。
「シンがそうして欲しいなら拒否はしないだ。だけどおいらはシェルパ以外にも馬車の整備や馬の世話、ダンジョンについた後は拠点の整備や、素材の整理なんかと補助者としての自分に自信を持ってるだ」
デンは補助者としての自分自身を非常に高評価しているようだ。
「そ、そうか。それなら無理には進めない。 クニはどうなんだ」
「オレも補助者でいい、もともと肉屋で、戦うことはあまり慣れてない。だけど、魔石の採取や魔物の解体等、補助者としては十分に役に立てると思っている」
クニも冒険者になる気はないようだ。
確かにこれまで魔物を狩った後、魔石の採取すら思うようにできなかったシンとシュバにとって、クニの存在は非常に助かっている。
「わかった、二人には補助者としてとてもよくしてもらっている、オレとしてはそのままでできればお願いしたいと思っていた」
「だが、イオも行方不明で、ケイもいない今、新しい冒険者を近いうちに加えたいと思っている」
シンは、今後のパーティメンバーのことを考えて、回復魔法を使えるものをパーティに加えたいと考えていた。
「オレもそれは考えていた! 男ばっかりでこのパーティはむさいからな!」
「やっぱりかわいい女の子、二人くらいほしいよな!」
シュバは空を見ながらにやにやしている。
「おおっ、それはいい!」
「楽しみだ!」
デンとクニもまんざらではないようだ。
「・・・・そういうことじゃないんだがな」
シンは今後のパーティのことが少し不安になった。
本日一挙10話投稿の2話目です。
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