疑問2
「世界が変わった?」
マルオが問いかえると。
「そうじゃ、魔王様が討たれたその時、まばゆい光が世界中を満たし世界中に数百万といた魔族の力は一斉に失われた。おそらく光の中心の近くにおったものは消滅してしまったはずじゃ!」
「世界の端の、辺境にいたワシも、その時光を浴びて力を失った。今では1年前の10分の1にも満たないからな」
「ゴブリンなど、その時の光で、ほとんど消滅してしまったはずじゃ。まさかまだ生き残りがおったとはな」
マルオはその時、閃いた。
「そうかおれが、イタチにも勝てないのは力を失ったからか!」
「光を浴びてないおぬしの力は、もともと弱いはずじゃ」
老人は申し訳なさそうに答えた
マルオは、それをきいて、心底ががっかりした。
「まあ、今おぬしのように弱くても、以前ならレベルを上げることもできたんだが」
「????」
「レベルを上げる?」
どういうことだ?
「魔王様が討たれる前は、魔族にも人間にもレベルというものがあって、戦うことによってレベルを上げることができたんじゃ。その力も鑑定能力があれば見ることができるしな」
「それが、あの光の後は、レベル自体がなくなってしまった。人間は変わりないみたいじゃがな」
「まあ。最下層のゴブリンであるおぬしには関係ないがな。わはははは」
老人は大きな声で高笑いした。
「まあ、そういうわけで今も残る魔族はごく一部じゃ!レベルがないわしら魔族は、今後どれだけ戦いを重ねても強くはなれん。人間にいずれ滅ぼされることになるじゃろう」
マルオは考えた。おれは何のために転生したのか?前世のおれも底辺にいたが自らの努力で頂点に駆け上ることができた。この世界ではそれもできないのか、どんなに頑張ってもオレは強くなれないのか!
マルオの目からは悔しさから涙があふれていた。
そんなマルオを見て老人はゆっくりと声をかけた。
「そなたが強くなる方法がないわけじゃない」
「えっ!」
マルオは老人の胸ぐらをつかみ、詰め寄った。
「落ち着かんか!」
「そなたが強くなるには2つの方法がある」
老人はそういうとゆっくりとたちあがり、マルオの手を振り払った。