新たな誕生
ここは大陸の西の果ての洞窟・・・・
また、新たな命が誕生したようだ・・・・
「んっ、ここはどこだ? 薄暗いな」
うまく声が出せないぞ・・・・
「あっ、目が覚めたようだね、ミト」
突然緑の化け物が現れた。
「う、うううううううううううう、」
やはりうまく声がだせない、体を一生懸命動かしてみたが全く動かない。
「だ、誰か助けてくれー! ミトってなんだ! オレは山田、田舎の国立大学の大学生だ」
「おなか減ったのね、一杯飲んで早く大きくなるのよ!」
緑の化け物が、何かを押し付けてきた。
「く、くるしい! ごくごくごく! 何かが口の中に・・・・」
「う、うまい!」
夢中で何かを飲んでしまった。
「ああ、おなかがいっぱいになった。 なんだか眠いぞー」
ミトはそのまま眠ってしまった。
☆☆ ☆ ☆ ☆
1週間が経過した。
ミトはようやく、状況がつかめてきた。
「どうやら、オレは何かに転生してしまったようだ! あの緑の化け物は認めたくはないが母親らしい。名をエリザベスというようだ。」
「ということは、オレは死んだのか? 何かがあったような・・・・」
「思い出せない、僕はどうして死んだんだ?」
「前世の名前は? 山田だ! 下の名前はない。 ないはずがないじゃないか、思い出せない・・・・」
☆☆ ☆ ☆ ☆
1カ月が経過したころ、ミトは歩けるようになり、洞窟の中を歩き回っていた。
「やっぱり、オレは人間じゃないな。周りにもゴブリンだらけだ!」
「認めたくはないけど、僕はゴブリンになったのか・・・・」
ミトは洞窟の中をキョロキョロして観察している。
もともと人見知りで人のコミュニケーションをとることが苦手なミトであった。
ゴブリンになったとはいえ、その性格は変わらず彼にとって団体生活は苦痛である。
「こんな生活は嫌だ! ゲームもない! アニメもない! 美少女もいない・・・・」
ミトは洞窟の中を見れば見るほど絶望していった。
☆☆ ☆ ☆ ☆
1年がたったころ、ミトは外に出て木の実を他のゴブリンたちととるようになっていた。
「やっと、外に出られるようになった! だけど外に出ても何もない・・・・」
「インターネットもテレビも、ゲームだって・・・・」
ミトはさらに落ち込んでしまった。
「ぼくの人生はもうお終いだ・・・・」