イオの捜索
グレートホーンの肉をたらふく楽しんだシンやシュバ達は、それぞれの宿屋の出屋でぐっすりと眠った
目を覚ましたシュバがシンに尋ねた。
「そういえば、イオはどうしたんだ?」
「?」
シンもイオがいないことに気が付いた。
ベッドは使用した形跡がない。
「もしかして、おれたちイオをあのまま置いてきてしまったんじゃないか!」
シンは一気に目が覚めて、立ち上がった。
「探しに行くぞ!」
シン、シュバ、ケイ達は全員で昨日グレートホーンがいた草原に向かった。
そこには昨日と同じようにグレートホーンの群れがいた!
シン達はグレートホーンに見つからないように慎重にイオを探した。
近くには見当たらなかったので、周辺を手分けして探した。
日が暮れるまで探したが、イオはまだ見つかっていない。
「日が暮れてきた。暗くなると危険だから、いったん宿屋に帰るぞ」
シン達は、全員で宿屋に戻ってきた。
シンとシュバは宿屋で松明を準備してもらい、再びイオの捜索に向かった。
朝まで探したが、やはりイオは見つからなかった。
それから1週間シン達は、ひたすらイオを探し回ったが、イオの姿はどこにも見当たらなかったのであった。
「残念だが、イオの捜索はこれでいったん打ち切ることとする・・・・」
シン達は苦渋の決断をくだした。
「イオの生存を諦めたわけではない! だがオレたちは先に進まなければならない」
シンは皆を集めて語った。
ケイとトシ、それにマハムがシンのところにやってきた。
「シン、われらはこの土地に残ることにする」
ケイが突然びっくり発言をした。
「えっ、どういうことだ」
シンは唐突なことでかなり驚いたようだ。
「私たちは、もともと冒険者になりたくて外に出たわけではない。外に出てみていかに自分たちが冒険者に向いていないか、身に染みた・・・・」
ケイは涙目で話している。
「残ってどうするんだ」
話しを聞いていたシュバが割り込んできた。
「ここでマハムと我々で食堂をやろうと思う。幸いこの町は私たちのことを受け入れてくれた。 行く当てもなくさまよっていた私たちにはこういう安住の地が必要だ」
トシと、マハムも泣いている。
「わかった。お前たちがそういうならオレは何も言わない」
シンはケイたちの決断を受け入れた。
「すまない、シンの仲間にしてもらった時の条件とは違ってしまうが・・・・」
ケイたちはとても申し訳なさそうだった。
「そんなことは気にするな! それにイオが戻ってきたとき誰もいないと、あいつがさみしがるから助かるよ!」
シンはケイたちの肩をたたき、励ました。