肉塊
グレートホーンを討伐したシン達であったが、ゆっくりしている暇はなかった。グレートホーンの群れがいつ戻ってくるかわからないからだ。
5人は巨大なグレートホーンの死体をを引きずりながら岩陰まで持ってきた。
「はぁはぁはぁ」
大丈夫か?
シンは息を切らしながら声をかけた。
グレートホーンの群れはイオを追いかけたまま、まだ戻ってきていない。
「よし、今のうちだな! デン頼む」
デンは慣れた手つきで魔石を取り出しグレートホーンの解体を始めた。
30分ほどでグレートホーンは大きな肉の塊と二つの角になった。
1つの肉塊だけでも100キロはある。
「これ1人1つ持てないよなー」
シュバは途方にくれた!
「大丈夫、おらに任せてくれ!」
大男のデンが100キロはあろうかという肉塊3個を軽々持ち上げた。
「おおっ」
シン達は目を丸くした
「オラはもともとシェルパだ!こんなもの運ぶのは朝飯前だよ」
後で来た話によるとデンは山道を何百キロもある荷物を運ぶ仕事をしていたそうだ。
残りの肉塊と角をシン達は手分けして担いだ。
「はぁはぁはぁ」
「やっと着いたな」
町についたころ、シン達は息も絶え絶えだった。
グレートホーンの肉は余りに大きいためギルドには運ばずに広場に並べた。
「おおおっ!」
気配を察知してやってきたギルド長が歓喜の叫びをあげた。
「これだよ、これ!」
「あんたらすごいねー」
ギルド長はシンの手を握ってぐるぐると回りだした。
ギルド長は大きな肉塊を難なくもって次々とギルドの中に運び出した。
シン達はその様子を、ただ口を開けてみているだけだった。
すべての肉塊を運んだギルド長は戻ってきて、またシンの手を握った
「ありがとうよ! 冒険者登録でも鑑定でもなんでも私に任せておきな!」
そういうと、ギルドに戻ろうとしたギルド長にシンは声をかけた。
「この角や魔石は?」
「ああ、明日買取りだね」
ギルド長は肉以外には興味がないようだった。
「明日の朝、また来な! 私は今日、忙しくなっちゃったからね」
ギルド長はそういうと、そそくさとギルドの建物に戻っていった。