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疑問

「悪魔――――――――――っ!」


「そんな驚くことはないじゃろう、おぬしこそゴブリンではないか」

「今の世の中、ゴブリンになぞ、なかなか会えんからの」

「わしからしてみれば、そなたの方がよほど珍しいわい」

 悪魔と名乗る老人は、笑いながら答えた。


 マルオは前世から転生して1年ほどが経つが、現世については、まったくと言い程知識がない。それは、母を含め、大人たちが、何も語ってくれなかったためだ。

 これまでもマルオはミハエル等、洞窟の大人たちに多くの質問をしたが、ゴブリンの大人たちは何も教えてはくれなかった。


「お願いがあります!私にこの世界のことを教えてください!」

 マルオは老人に詰め寄って懇願した。


「まあ、落ち着かんか!わしの知ってることなら話してやるわい」

「そなたには、結果として助けてもらったようなもんだからの」

そういうと老人は、焚火の日を見ながらゆっくりと語りだした。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「先ほども話したが、わしは魔王軍の幹部じゃ!」

「いや、正確には元幹部じゃな! 魔王軍はもうない、魔王様は1年前に勇者によって討たれてしまったからな」

「えっ!」

 マルオは声にならない声をだして驚いた。この世界には魔王も勇者もいるのか、しかも魔王はすでに討たれたのか!マルオは衝撃を受けた。


「だから、落ち着かんか!夜はまだまだ長いからな」

老人はそういうと、再び語りだした。


「魔王様がこの世にあらわれたのは800年ほど前だ!それから800年間この世は魔族と人間界で常に戦ってきた」

「800年間で世界の半分は魔王様のものになっていた。しかし、青の1年まえにの」

そういうと老人は少し考え込んで、再び語りだした。


「ワシはその時、この辺境の地にいて魔王城にはいなかった。もともと勇者が来ることはわかっておったんじゃが、勇者といっても所詮人間!魔王様の敵ではないと思っておった。これまでも魔王様は何十人という勇者を葬り去ってきてたからの」


「それゆえ今でも信じられぬが、魔王様が討たれたことはすぐにわかった」


「その時、世界が変わったからじゃ」


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