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この中に1人男の娘がいる! いや、まぁ僕なんだけどね23

「桜島日鞠の部屋から男物のトランクスが見つかったですよ! お掃除のときに、見つけちまったですよ」

 桜島さんは、はっとした顔になる。そして、ぐっと下唇をかむ。

 前の客の物が残っていただとか、犯人の男が紛れ込ませただとか、言い訳はいくらでもできたはずだ。だけど、この子はそれを一切しなかった。

 それどころか。

「よくわかったね」と、性別:男を肯定した。事態について行けず、めまいに似た感覚に襲われる。

「何事ですか?」と、バタバタと床を鳴らして如月さんがやってくる。木刀を構える彼方ちゃんを見て目を丸くした。

「如月はん、男の娘が見つかったですよ!」

「本当なのですか!?」

「犯人は、桜島日鞠なのですよ。このお客はんの部屋から男物のトランクスが見つかったですよ。そして、本人も肯定したのですよ」

「本当に――」

「本当だよ。ぼ、ボクが男の娘だ。今まで気づかないなんて、君たちは間抜けだね」

 らしくない。本当にらしくない桜島さんの言葉。努力が無駄だと否定したときのように、うそをついている。

「……桜島さんは、吹雪が収まり次第強制送還します。それまでは、物置部屋に閉じ込めさせてもらいます」

 如月さんは怒りをぶちまけるかと思ったけれど、その対応は思ったよりも冷静だった。少なくとも、混乱の極みにある僕よりも何倍も。

「抵抗はするなですよ」

「しないよ。全員女の子でも、これだけの人数がいたら男のぼくでもさすがに勝てないよ」と、桜島さんは両手を上げながら言った。その手が小刻みに震えているのに気づいたのは、もっとも近くにいた僕だけじゃないだろうか。

 このときから、桜島さんは二月壮の物置部屋に事実上、監禁されることになった。


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