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丸田さんに会いたくないので仕事に行きたくない

掲載日:2021/01/06

外は雨。


いつもと違う音がしたから、もしかして思ったらこれだ。

雨は好き、だからちょっと気持ちが良くなる。


だけど…。


電子時計に目をやると、時刻は6時15分。

今ならまだ間に合う。

バイト、休んじゃおうか?


カレンダーに目をやる。

今日は6日。まだ月の半分も経ってない。


今日、休んだって何も変わらない。

明日になれば結局行かなきゃならないし、そもそも今は生活費だって自分で稼がなきゃいけない。


…でも待って?


丸田さんは明日休み。


今日休めば、二日間会わなくて済む。


丸田さんは明後日出勤だけど、シフトが合わないから、会わなくて済む。


今日休めば、三日間は会わなくて済む。

やだもう、そうしちゃおうかな…。


…。

でも待って、それって負けじゃない?

私、丸田さんに負けちゃって無い?


…。

しょうがない、頑張って行こう。

丸田さんより下なんて絶対いや!


いや人間に上下は無いけど、それはそうなんだけど。


ああ、でも長いな。

今日は8時間勤務だから、次にこの部屋に戻ってくるのは実質10時間後なんだよ…。


よし!コーヒー飲もう!

元気の源!


カーテンからやっと手を離して、キッチンへ行く。

インスタントコーヒーに手を伸ばしたが、1ヶ月は使っていないコーヒーメーカーが目に止まった。


いやいや…10分はかかるし、インスタントでいいや。


インスタントコーヒーは、一杯ずつ飲めるように分けられて小袋に入っている。


これを一本開けたら、もう選択肢はなくなる。


本当にいいのか?

コーヒーメーカーでも時間は間に合うんだぞ!


…。

やっぱインスタントで!


スマホをじっくり見る時間が欲しいから。

コーヒーメーカーだと、ゴミ捨てる時間も必要、洗う時間も必要、別に帰ってからでもいいけどさ、疲れて帰って来て洗い物残ってるのは嫌だしさ。


インスタントコーヒーの粉を入れたカップに、ポットからお湯を注ぐ。


あれ、このお湯いつから入ってるっけ…。


まぁいいか、大丈夫大丈夫。


テーブルについて、コーヒーを置き、リモコンでテレビをつける。やり慣れた仕草。


見慣れない番組が流れている。

昨夜、いつもは見ないチャンネルを見ていたのでそのままだった。

おじさんが座ってニュースを読んでいる。


当然の様にいつものチャンネルに戻すと、アナウンサーなのかタレントなのか知らないがとにかく可愛らしい女性が元気に喋っている。


もうさ、朝は女の子見たいよね。


おじさんは人より好きな方だけど、朝の出勤前はやっぱり女の子かな。


天気は一日雨らしい。

肌寒い一日になりそうです、って。


そっかあ、頑張ろうね。


テレビの端に表示された時計を読むと、6時50分。


あっれえ、もうこんな時間かよー…。


お天気お姉さんに励まされ頑張ろうとしたばかりだというのにもう下り坂。


あと40分で準備しないといけない…。


…。


ああ、動けない!

コーヒーだって二杯目飲みたい、だらだらしたい。


ああ、今日休みだったら天国なのになぁ!

なんで今日休みじゃないの?ねえ何で?神様!


休みだったらさ、このまま優雅に朝ごはんとか作ってさ、頑張れ世の中の人!って思いながら朝のニュース番組をご飯食べながら見れる訳。


卵焼きと、いや目玉焼きと、白ごはんかパンでしょ。

サニーレタスとか適当に添えてドレッシングちょいちょい。


ああああ…


休みたい…。


だってさあ、今日丸田さんがいるんだよ!

行きたくないよお!


丸田さんさえいなければ…。


今日も面倒くさいどーでもいい話、聞かされるんだろうなあ。

いやいや、いいの、それは。

話とか右から左だし。


コーヒー二杯目行こ。


それより、仕事中なの。

あの人頑張りすぎ、私の仕事なくなるって!


サボれるー、とか考えてた私がバカでした。

何もしないっていう信じられない苦痛を丸田さんは知っているのか?いるのか!?

時計見ても時間は全然進まない訳…。

退勤まであと◯時間◯分って計算する位しかする事ないって人としてどうなの?


私の価値って一体何?とか真剣に考えだすし。

いやいや、いいの、妄想は好きな方だし、だけどね…。


一応、仕事してる風にもしとかないといけないしさ、何あいつーサボってるよって、ぱっと見には思われる可能性がある訳じゃない?


だからしてる風にするのも大変なんだよね、もういっその事堂々とサボりたい。いや違うサボってんじゃないの、仕事がないの。


丸田さんにはこんな私の気持ち、わかんないんだろうなー、人の仕事取っちゃう人だから!


手はスマホを操作して、恒例のニュース欄を見る。

トップページは交通事故のニュースだ。


怖…。

やっぱ人生何があるかわかんないよね。

こんな仕事行きたくないとかさ、バカらしいよね。


…。

いやいやいや、わかってるのー!

でも大したことじゃないのー!

大した事じゃないのに、大した事なのー!


誰か助けてえ!


時計は7時15分を指している。


…。


着替えるか…。

休むかもしれない。

だけど行くかもしれない。

だから一応着替えておく。


もしかしたら10分後、突然の発熱を報告する電話をする羽目になるかもしれないけど、今はまず着替える事が一歩目。

私の今日の大事な一歩目!


続いて歯を磨いて、顔を洗って、メイクした。


そして、着替えた。


テレビを消して、消し忘れが無いか確認。

スマホをバックに入れて、玄関に置く。


上着を取りながら時計を見れば7時28分だ。


ちょうどいい感じ。


玄関を開けて、傘を取りに一瞬戻って、また外に出て玄関を閉め鍵をかけた。


さあ行くか。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 上手くは言えませんが、エッセイと言うよりも短編小説として優れていると感じます。 仕事に行きたくない朝の気持ちを、的確に代弁して貰いました。 [気になる点] 私ならば、丸田さんをヨイショし…
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