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精神科医への手紙  作者: 新兎和真
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逃避行その5*臨床心理士Uさんへ……自殺未遂について

Uさんへ


*注意 かなり私の本音を暴露しています。

暴露しすぎて読み手に対する配慮にかけていたりするので、正直提出していいものなのか考えました。

しかし、治療には必要だと思ったので書くことにしました。

内容的には「とにかく私が人間不信を通り越して人間嫌い」という内容になっているのですが、親身に話しを聞いてもらっているのに、こんなことを書いてしまってごめんなさい。

先生にも読んでもらって構いませんが、両親やその他の他人には秘密にしてほしいです。





突然ですが、私は自殺未遂を何度かやっていて、その大半が人に見つけられたくなかったので一人きりのときに実行しました。


自殺未遂を何度も繰り返したのは20代前半頃が多く、ドアノブで首を吊っていました。(ニュースで「刑務所の囚人がドアノブで首を吊って死んだ」というのを見て、「私の家には首を吊る場所がなくて残念に思っていたけど、ドアノブでもいけるんだ!」と、とても嬉しくなったのを覚えています)


しかし、実際は失神するのが精一杯で、自分では自殺のつもりでしたが、そんなの自殺のうちに入らないと笑われてしまうかもしれませんね。


ODと首吊りをかけ合わせてやったりもしましたが、無理でした。(なんで自殺マニュアルの一つも読まなかったのか悔やまれます)


私は人間が死ぬほど嫌いです。

死んだら誰とも関わらずに済むと思うと嬉しくて嬉しくてたまりません。

なので、自殺をしようとするときにはいつも気持ちがとても明るくなっていました。


自殺する要因は他にも色々重なっていてこれ一つではありませんが、これが主な要因です。


自殺に失敗して生きてることがわかるとすごく暗い、悲しい気持ちになり、廃人のように呆然となり、しばらくはろくに何もできない状態になりました。


あまりにこの暗い気持ちがひどいので私は自殺行為をやめました。


私は子供の頃から「もし地元を出れずに20歳を過ぎてしまったら死のう」と思っていました。

理由は両親が心底具合い悪かったのと、20歳過ぎたら本格的に結婚の話が出てくるからでした。


私は昔から男の人と性行為をするのが文字通り死んでも嫌です。(今もです)

さらに他人と一緒に暮らすなんて拷問以外の何ものでもありません。


子供の頃のある日、小学校の体育の男の先生だったと思いますが「女は未だ差別されていて特に長崎みたいな田舎は就職しても満足に生きていけないから、お嫁に行くしかない(体を男に売るしかない)人間は一人では生きていけない」と、私を見下すような満足そうな顔で言ったことがありました。

私は黙っていましたが、それから「人と関わらずに済むには死ぬしかない」と思うようになりました。


その先生だけでなく、大人になって私の周りの多くの女性達は「こんな田舎じゃ生きていけないから」という理由で好きでもないどうでもいい男性と人生を諦めるようにして結婚していきました。(表向きは好きな人と幸せな結婚をした、ということになっていますが、本人が結婚を本当は嫌がっていて泣いていたのを私は知っています)


そして、田舎は結婚していたほうがなにかと有利だと感じています。

独身者は最近は多くなっていますが、やはり負け組扱いですし。

私が高校時代いじめられた要因の一つに、周りは男と付き合っていたのに、私は誰とも付き合わなかったから、というのもあります。


田舎では男尊女卑の考えが未だ根強いと感じています。

「男に必要とされない女は価値がない」というような考えが残っているような気がします。


そういう意味で「男の人と性的な意味で関わりたくない」と思っている私は、田舎的にはきっと価値がないのでしょう。

だから、そういう価値観の人達に見下されて嫌がらせを受けるのでしょう。


よく痴漢に遭うのは「ただで性欲を満たせる都合のよい女」と見られているのかもしれません。

売春や水商売でもお金を貰うのに、タダで触られていいようにされる私はそれ以下の価値の人間なのではないかと。

もう、女として以前に人間として見られていない気がします。


けれど、人と付き合いたくない、男の人と性的な関係になるのが嫌い(性的な関係を望む女性が大半でしょうから、私はとても変な、異常な人間だと思います)というのは世間ではとてもマイナスに見られ、叩かれる要因になると思うのです。


なので、私は友達が欲しくなくても「欲しい」と言い、彼氏が欲しくなくても無理してデートしてみたり「彼氏がいなくて寂しい」とか嘘を言います。

そうすると本当のことを言うよりも周りの女達の目が優しくなるのです。男の人の目も優しくなります。

そうしてそれを見て私は心の中で「全員死んでしまえ」と思いながら笑っています。


私が男受けしない化粧やファッションをしている理由もそこにあります。

表面的には受け入れているようで肝心のところでは拒否しているのです。


先生に案山子を利用したい、と言ったのも、「死ねなかったから、生きるしかない。それなら周りから叩かれたくないから、嫌でもディープな人付き合いに慣れるしかない」からでした。


別に私は他人を全面拒否するのではなく、軽いお付き合いがあってもいいのではないかとも思っています。

が、実際にはそういうわけにもいかず、相手に自分の踏み込まれたくないプライベートな領域にズカズカ上がり込まれてしまい、それを拒否することで人間関係が壊れてしまうのです。


何故か私の場合相手に異様に気に入られてしまうことが多いのです。

そして大概の場合、私はその人のことを呪っています。


生きてる、というのがひどく辛くて今でもどうにかして死にたくなるのは、人と関わりたくないからではないかと思っています。


どうにか他人とある程度の距離を保ちながら相手に必要以上に踏み込まれることなく上手にお付き合いできるようになりたいです。

そんなの無理だし単なる我儘かもしれませんが、それが私の本音です。


あと、昔から男性に性的な目で見られたくないので、男になりたい願望が強いです。(子供の頃、髪を刈り上げにしたり、男の格好をするのが好きでした。今でも好きですが、今やったら違和感が出て世間から叩かれるのでやりません。女の格好をしているほうが安穏に暮らせるからです)


性的な目で見られることがなければ、私の思考回路は男性に近いと思うので、とてもいい友人になれると思うのです。

同性の付き合いはやたらベタベタしていてプライベートに踏み込んでくるので嫌いです。


死んでもし天国があったとしても、そこに人がいるのなら私にとっては地獄です。

むしろ地獄のほうが苦しくて他人に構っている余裕がないから、人付き合いがなくて私からしたら天国かもしれません。

死んだら天国も地獄も、何もなくなってしまうというパターンが一番私にとって幸せなパターンです。


絶対に死ねるなら迷わず死ぬほうを選びますが、必ず死ねるなんて保証がないので、生きるしかないなあ、と思いながら通院しています。


人間は必ず死ねるようになっている、と言いますが、私の場合死ねるところで死ねなかったので、死ねないのではないかという不安がひどく強いです。

最終的には死ねる、というのを励みにしてどうにか生きています。毎日死ぬために生きてます。


2018年1月12日

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