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精神科医への手紙  作者: 新兎和真
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逃避行その4*臨床心理士Uさんへ……父について

Uさんへ


父について


祖父は地主の長男だったらしく、山とか土地とか持っていたらしいのですが(後で勘当される)すべて飲んだり賭けたり、女遊びに使ったりしたのでむしろ借金が増え、祖母はお金に困って働いていて幼い父は一人で過ごすことが多かったようです。


祖父は飲みすぎが祟って早死したのですが、酒乱癖がひどく、祖母と父は毎日殺されるのではないかという恐怖と戦いながら過ごしていたそうです。


父は祖父の金遣いが荒くなかったら裕福な暮らしができたのに、という気持ちが強いように思えます。


祖父は曾祖父が父に、と残した土地まで売って遊んでいます。

父がこどもの日に「兜が欲しい」と言うと、当たり前のように新聞紙で折った兜を被らされたそうです。


父は大きな蜘蛛が怖いくせに、子供の頃には蛙に爆竹を背負わせて爆破させ、内臓が飛び出るのを見て遊んでいたらしいです。


本当は警察官になりたかったらしいですが、祖母が心配で設計士になって地元の会社に就職しました。(警察は転勤が多いので)

給料のほとんどを祖母に渡していたらしいです。

なので、私が働かずに母からお小遣いまでもらっているのを快く思っていません。

もっと親に感謝すべきだと思っています。


祖母は祖父に散々振り回されたくせに最後まで祖父を激愛していました。

父は祖母に構われずに育ったせいか、母が私を少しでも優先すると異常に興奮して怒ります。(例えば、母が私だけにお菓子を買ってくるとすごい焼きもちを焼いたり)

なので、私の子供の頃から母は、子供より父を優先させていました。


祖母も言っていましたが、父は少しのことで異様に凶暴になる癖があります。

それが道路上のことになると、腹を立てた相手の車の車間距離をぶつけるのではないかというぐらいにギリギリに詰めて交わす、ということをよくしました。

時速80km以上急に飛ばすこともありました。

祖母や母や私が乗っていてもお構いなしです。

むしろ怯えている私達を見て楽しんでいるようなところがあります。


父は悪運が相当強いのか捕まったことがありません。

しかし、バイクで事故を起こして入院し、成人式に出られなかった苦い思い出があります。

それでもこんなふうなので、おそらく父の馬鹿な癖は一生治らないのだと思っています。


色々規制が厳しくなる前はエアガンを改造するのが好きで、大会で銀賞を取ったことがありました。

その練習に使われたのは私のお気に入りのゴミ箱でした。(ランドセルが入っていた箱を使用後にゴミ箱として使えるようになっていた)

ある日何も知らない私がゴミ箱の底を見て穴だらけになっていたのを発見し、すごく恐ろしかったのを覚えています。


私が小学生の頃は単身赴任が多く、あまり家にいなかったのでよかったのですが、中学生ぐらいから父が家にいるようになると、ひどく具合いが悪くなったのを覚えています。


記憶が曖昧で、詳細を覚えていないのですが、ややもすれば殺されかねないような感じが日常でした。

母は覚えていないでしょうが(嫌なことはすぐに忘れる人)私が父に殺されないようにと、母が不在の折は母方の祖父の家に私を預けたことがありました。


私は周囲の大人達に快く思われていないのは承知で助けを求めたことがありました。

暴力の痕が残っていないので誰も本気にしてくれませんでしたが、話の内容が異常だったので施設に行くことを勧められたことがありました。

私は高校を卒業したら家を出られると思い込んでいたので断りましたが、今になってひどく後悔しています。


私は父が仕事から帰ってくる時の車のエンジン音にひどく怯えていました。

たまたま私の部屋の近くに駐車場があり、つい最近までそこに車が停まるたびに寝ていても飛び起きてしまっていたのは、この頃のせいだと思います。

ちょっと前まで寝る時は耳栓が手放せませんでしたが、レキソタンやエビリファイを飲むようになって耳栓なしで眠れるようになりました。


父が家にいたり、学校のいじめや、家の嫁姑関係でひどく色々あったのが小学校高学年~高校生までだったのですが、その間の記憶がほとんどありません。


大人になってからは暴力はありませんが、態度や仕草で脅してきたりします。

反応すると得意気になったり、さらに脅しにかかるのでムカつきます。(今までが今までなので、大したことをされなくても必要以上にメンタルにきてしまうのですが、周囲から見たら大したことないことで異常に怯えているように見え、私の頭がおかしいように見えるはずです)



父は息をするように嘘をつきます。

それは大概が見栄を張るための嘘です。


私のPCを一緒に買いに行った時、父はPCの店員さんと意気投合し、私が店員さんに質問する間を与えてくれない程でした。

いかにもPCのことは知り尽くしているといった感じで父が「初期設定なんて簡単だから、店員さんに頼まずに自分でやれる」と言ったので信じてしまいましたが、父は自分のPCの初期設定に何時間もかかっていたようで、苛ついていたらしいです。(後で母から聞いた)


私はそんなことは全く知らなかったので、「父はPCに詳しいのだ。わからないことは父が店員さんを独占して聞けなかったけど、父に聞けばいい」と思い、後で父に聞いて「そんなの知るか、自分でやれ! しつこい! なんであの時店員に聞かなかった!」とキレられました。


父が人がいない公共の場で暴れたこともありました。

公共の場では人が見ていない所でしか暴れないので、感情的になって暴れたのではなく、計算して暴れているのではないかなあ、と思うことがあります。


私が以前入院していた病院の看護婦さんが非常に横暴な人でした。

自分がミスしても謝らず、逆ギレして誤魔化すような人でした。

それで退院する時、父と母と私しかいない廊下で「(あの看護婦さん)ムカつくよね」と私が言いました。

するとそれを自分が言われたと思い込んだ父が、すごい大声で叫び、荷物の中身を廊下にぶちまけて暴れました。

母も何故か私が父のことについて言ったと思い込んでいて、父と一緒になって私を責め立てました。


父の興奮が収まり、エレベーターに乗ったとき、父が「○○万無駄になった」(←私のその時の入院にかかった金額。今はもう覚えていません)とボソッと呟きました。

最後まで私が悪いことになっていました。

母には後から説明しましたが「勘違いさせる私が悪い」というようなことを言われた気がします。


時々私には父が人間に思えないことがあります。

ちゃんと赤い血は通っているのだろうか、ちゃんと息はしているのだろうか、と。

実際に確かめられたとしても、私の幻覚だったり、幻聴だったりするような気がして、父がもし切り刻まれても何とも感じないのではないかという気がします。

生き物ではなくて物体のように感じることがあります。

ありえない血の色をしていそうです。

赤い色をしていたとしても、緑とか、銀色の血に見えるような気がします。


ものすごく幼い頃は「パパ」という言葉の意味が「父親」だという意味だと知らなくて、「パパ」は「家によくいる他人にしては馴れ馴れしいお兄ちゃん」だと思っていました。

どこか「他人」と思っていたところがあったように思えます。

「他人」と思うことで色々なショックから自分を守っていたような気がします。


2018年1月4日



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