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精神科医への手紙  作者: 新兎和真
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逃避行その8*先生へ

先生へ


ふと、不思議に思うことがありました。

薬を飲む前と飲んだ後では全く違う捉え方になっているのです。

同じ短歌を読んでも全く違う感想を持ったりします。

その短歌の内容は「学校のロッカーを蹴るなら人の顔を蹴れ」というものでした。


薬を飲む前→作者は人よりも物のほうが大事なのだな。なんだか嫌な気分……。


薬を飲んだ後→「人の顔を蹴る勇気もないくせにロッカーを蹴るな、物を大事にしろ」というメッセージなのだな。


薬のせいで気が大きくなるのでしょうか?それとも薬により一時的に精神が健康な状態に戻って本来の自分になっているのでしょうか?わかりません。


薬を飲んでいない時期にも似たようなことがありました。

読書感想文をWordで打ち、たまに振り返って昔の感想文を読んでみるのですが、まるで別人が書いたかのように「そんな考え方や発想が私にあったのだろうか?」と疑問を感じるほど、書いた時と少し経って読んだ時の考え方や捉え方がだいぶ違うのです。


また、あれだけ熱心に画力を上げようと何年もデッサンの練習をしておきながら、練習しているときの記憶がなく、全く練習していないような心境なので「大丈夫だろうか?」とやたら不安になったりします。


いざ描き始めると体が描き方を覚えていてすんなり描けたりすることがあります。

練習した絵を見ると画力は相当上がっているはずなのですが、記憶がないので全く自信が持てず、何か描くのにすごく勇気がいります。

どうやったら自信を持てるのかわかりません。

描いた絵が、自分が描いた絵ではないような感じがすることも多いです。


手芸をしているときも変な時があります。

作ってる時は自分の作品の粗ばかりが見えて捨ててしまいたいほど厭に思えていたのに、出来上がった作品を次の日見てみると別の人が作ったみたいでイケてるように思えるのです。

私はこの現象を「一晩の魔法✩︎」と名付けています。


他人からどう見ても綺麗に出来上がっていたとしても、自分の作品がダメに思えてしまうのは自分でもすごく不思議です。

他人と同じ物を作るとどうしても他人の作った物のほうが完璧に思えます。(他人だと失敗した箇所でさえもひっくるめて「それもありだ」と思えます。自分の作品は何故かそう思えません)



2018年2月1日

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