97話
斬る、斬る、斬る。
薺がズバズバ敵を切り裂きつつ歩く。
「なーん」
猫のラリーが下僕をほめるように鳴いた。
撫でる、撫でる、撫でる。
薺は嬉しそうな顔をしている。
偉そうに!
だから猫は嫌いだ。
偉そうにしやがって。そもそもここに来るきっかけを作ったのはお前だし、俺たちはそれに協力してやってるんだ。それなのにそれが当たり前だと思ってる態度だ。
けっ!
「しゃー」
威嚇された。
うるせー!
〇●〇●〇●〇●〇●
特殊スキル「黒渦 to Dive」
〇異空間との扉を開き、物を収納することが出来る。また、無人ショップで商品を購入することが出来る。
〇異空間内は時間が停止しているため、収納した時点と全く同じ状態で取り出される。命あるものは収納することが出来ない。
〇購入することが出来るものはスキル使用者が目にしたことがあるもの。実物だけではなく映像として見たものも含まれる。購入するために使うことが出来るのは魔石のみで、その中に封じられた魔力の強いものほど価値の高いものを購入することが出来る。売却で魔石を得る事はできない。
〇●〇●〇●〇●〇●
魔獣を倒しながら洞窟を進む俺たち。進む後ろには何も残らない。俺には便利な便利な特殊スキルがあるからだ。
薺は敵を倒す。
そして収納するだけの簡単なお仕事をしているのが俺だ。
地球のシステムと全く同じだ。虫も魔獣も光に集まって来る。ただ歩いてるだけで金が溜まっていくみたいなものだ。
異世界に来てよかった。
「薺、大丈夫か?疲れてないか」
「・・・」
「そうかよかった。それじゃあ引き続き頼む」
「・・」
声かけ重要。
気遣い重要。
「ギャーーーーーーーーー!!」
鼓膜が痛くなるような叫び声。
「なんだ今の声」
「人間の声ではなかったような……」
「薺、気を付けて進もう」
「・・」
進むごとに獣臭と気配が濃くなっていく。
「水の音が………」
広い空間に出た。
「ギャーーーーーーーーーー!!」
二本足で立つ大型の鳥型魔獣。
「泉だ!」
魔獣の後ろには今回の目的である「精霊の泉」らしきものがある。精霊が力をくれるかもしれないという泉だ。
「けどあいつ鎖につながれてないか?」
繋がれている。
そして………
声。
聞き取りにくいが頭の中に響くそれは間違いく魔獣の声だった。
「なんか苦しんでないか?」
確かに苦しんでいる。
「あの赤黒いのってもしかして………」
ああそうだな。
「ギャーーーーーーーーーー!!」
声が響く。
「なんでだ?誰がアイツをこんなところにつないだんだ?」
それはわからない。
わからないが想像はできる。
気色が悪い。
醜悪で残酷。
もう見ていたくはなかった。
無能。
魔獣を捉えた。
「薺、楽にしてやってくれ。頼む」
白い閃光。
俺にはそれが救いの光に見えた。
評価、ブクマ頂ければやる気が出ます。
よろしくお願いします。




