93話 ー投手の才能ー
毒!?
「私の毒は強烈だぞ。どでかい魔獣が芋虫みたいに体をくねらせながら、それはもう酷い声で泣き喚くんだ。どうだ?痛いだろ?苦しいだろ?」
薺………薺は。
「欲しいだろ?解毒剤」
解毒剤、だと?
「毒を使う以上当然持ってるさ!お前が生きるのも死ぬのも私の心持ひとつというわけだ、ハッハハッハハハハッ!」
頭がガンガン痛む。
声が遠い。
「けどお前はもう手遅れかもな、そんなに黒蜥蜴がぶっ刺さったんじゃ」
殺す
「自分の体をよく見てみろよ!毒で黒ずんでやがるぜ、それはもうどうやっても助からねえよ」
殺す殺すぜったいに殺してやる。
「けどあの女、薺とかいったか、あっちの方は助かるかもな。あれは即効性が強い代わりに毒性はそこまで強くないからな」
「解毒剤………」
「そうだ!それさえあればあの女は助かるんだ。馬鹿でもわかるよな!?どうだ、その死にかけの体で命乞いしてみるか!自分の命じゃなくあの女の命を助けてくれってな!」
声が小さく聞こえる代わりに自分の心音は大きく聞こえる。
「オイ馬鹿!聞こえてるのか?お前のために提案してやってんだよ!」
ガッ!
頭を蹴られる感触。
「私の黒蜥蜴をへし折った勢いはどうした」
ガッ!
「それともあの女のためには頼めないか!?命乞いが恥ずかしいか?情けないか?格好よく死んでいきたいとでも思ってんのか?え?どうした!?」
右足の足首。
俺の頭を踏みつけようとしたその瞬間を待っていた。
確かに掴んだ。
「この死にかけの馬鹿野郎が!私の足にーーー」
メキョッ!
「ぐああああぁあ」
骨が砕ける感触。
力が湧いてくる。
「離せ!離せこの馬鹿野郎がぁぁ離せ!離せよこの野郎!」
自由なほうの足で踏みつけられる痛みを無視して、手のひらにさらなる力を籠める。
足首の骨を粉々に砕く。
「ぎゃあああぁああやめろおおおやめてくっれええええ」
毒に侵された体でも十分だ。
無能発動。
〇●〇●〇●〇●〇●
特殊スキル 無能 Lv4
特徴 自分自身から50m以内の生き物に「無能」のバッドステータスを付与して無能状態にする。無能状態になると全ステータスが90%ダウンし、運は-100になる。ただしターゲットとして選択できるのは一人に限定され複数をターゲットにすることはできない。そして下位能力による付与阻害や能力低下の影響を受けることはない。
〇●〇●〇●〇●〇●
絶対に逃がさない。
足首を掴んだままなんとか力を振り絞って立ち上がる。
「串刺しにしろ黒蜥蜴!!」
何も起きない。
「そんなばかな、なんんでなんでなんだ」
絶対許さない。
絶対に殺す。
「何をする!やめろ!止めてくれえ」
片足けんけんのまま喚いている男の足首を持ったまま野球のピッチャーのように。
思いっきり地面に叩きつけた。
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