83話
「ケイタ君!!」
出立の門。
待ち構えていたのはモントドールとウサイトだった。
「その格好、、」
トレードマークともいえる兵士の格好をしていない。半そで半ズボンのモントドール、フリルのついた白いロングスリーブに緑のロングスカートのウサイト。まるで別人のように見えた。
「ええ、クビになりました」
「それはもうスッパリとな!」
「笑顔で言う事か!」
相変わらず満面の笑みだった。
「命令違反ですから仕方ありません・・」
あのオークの一件。
オークキング発見の知らせを受け、兵士たちは籠城を選択した。街を囲う城壁を生かしつつ応援部隊の到着を待つ。それが上層部の決定だった。
だがモントドールは夢のお告げに従った。女神は森へ向かえと言った。
「オークキングを森の奥に追い返したという嘘がまずかったか」
「それは・・」
「もう終わったことだ!生きている今に感謝!いいんだ!」
そう、オークキングではなく突然変異種オークであったこと、そして、それを倒したことは言っていない。嘘の証言をした。
理由は簡単。それを言うとかなりの時間をとられるからだ。そんなことに構っている暇はない。力を誇示する必要はないし、名声を得る必要性も感じない。むしろ、わずらわしい。だからこの筋書きを選んだ。
「女神のせいで無職になったか」
「職業フリーダムといってくれ」
「ダサっ」
「とりあえずはこの街で準備をしながら落ち着いたら冒険者としていろいろ見て回りたいと思っているんです」
「冒険者仲間だ!」
「俺達は冒険者じゃない、商人だ。肩書は」
「えっ、てっきり冒険者だと・・・」
「強制招集がうっとおしいからな、冒険者は。商人だったら緊急事態が起ころうと自由だからな」
「ケイタ君!君こそが真の職業フリーダムだ!」
「ダサい肩書をつけるな!」
「ケイタさん、謝らせてください。私、てっきりあなたの事を悪い人だと思っていました」
「悪いさ。なにも間違ってない、その通りだ。もしかしたらいつか敵対することがあるかもしれないな」
「なに、そのときは拳で語り合えばきっとわかり合えるさ!」
「古いわ!」
「なずなさんもお元気で・・」
「・・・」
「大丈夫、だと」
「あの剣の切れ味!今まで見た誰よりも凄まじい、私が保証する!きっとナズナ君は世界に名を轟かす剣士になる」
「・・・・」
「ありがとう、だと」
「もう行くんですか?」
「ああ」
「・・・」
「私は忘れないぞ!今日までの事を」
「私もです、とてもとても濃い経験でした」
「そうだな」
「仲間だ!」
浅黒く焼けた顔、目じりに深い笑い皺が浮き出た満面の笑顔で拳を突き出してきた。
カッ、
力強く二つの拳がぶつかった。
「薺、出発だ。次はこの国で最もデカい街だ」
「・・・・」
「どうかお元気で」
「がんばれー!ケイタ君、ナズナ君!世界は君たちを待っているぞ!!」
「最後まで暑苦しい奴だ」
BLULULULULU・・・・・・・・・
魔力を通されたバイクが力強い音を上げた。
見送る2人と街を背に黒部 圭太と薺はメルスンを旅立った。
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